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保安検査員、人数回復進むも「離職」の多さ依然課題に
コロナ前88%回復、待遇改善も進み年収は前年比9%増
コロナ禍からの回復を図っていくなかで、グランドハンドリングスタッフや保安検査員不足が顕著となった。より多くの人材を呼び込むためにも、処遇改善が喫緊の課題になっている。官民が協力して諸課題の解決に乗り出しつつあって、グランドハンドリングスタッフの労働環境の改善、とりわけ他業界に比べて低賃金だった平均年収は約434万円と、一時金の増額が大きな要因ではあるが、前年比約120%という大きな伸びを記録した(本紙4月4日号)。では、もう一方の保安検査員の労働環境の改善はどうだろう―――。
保安検査員は人材が定着しない、クレームの矢面に立たされる、長時間労働(勤務時間インターバル等)、キャリアパスが見えない、低賃金など、さまざまな課題を長年に亘って抱えてきた。こうした課題を背景に、せっかく採用した貴重な人材も、早期に辞めてしまうケースが後を絶たず、グランドハンドリング人材と同じような構造となっていた。
そうしたなかコロナ禍で保安検査員の退職が加速し、国土交通省航空局の調査では、全空港でコロナ前(2020年4月)には約7400名が在職していたにもかかわらず、コロナ禍(2022年4月)には約5800名と、約2割も減少してしまったという。
とりわけ都市部の空港(成田・羽田・関空・中部)では、コロナ前の約4000名から約2900名にまで減少。地方部(都市部空港以外)でも約3400名から約2900名にまで落ち込んだ。
そうしたなか今年4月の時点では、全空港で6600名と、コロナ前の88%まで人材が回復してきたとのこと。都市部の空港では約3200名(コロナ前比:81%)、地方部空港では約3300名(同:97%)まで回復してきた。
※この記事の概要
都市部空港の「採用」と「離職」比は4:3
地方空港も3:2と深刻な離職率
平均年収は408万円に上昇
他職種比べ低水準、更なる改善不可欠 など