記事検索はこちらで→
2018.12.05

WING

ロッキードとエアバスが空中給油で協力合意書調印

A330MRTT中心に米空軍直近の需要に新たなサービス提供

 ロッキード・マーティンとエアバスは12月4日、拡大しつつある米空軍向け空中給油需要に応える機会を共同で探求する合意書(MOA)にスペインのマドリードで調印した。エアバスA330MRTT給油機を中心に給油サービスに課金するような新しいコンセプトでの提案を探求していく考えだ。
 ロッキード・マーティンのマリリン・ヒューソン社長・会長兼CEOは「信頼性が高く近代化された空中給油は、我々のカスタマーが世界的な展開能力と戦略的優位を維持するため必須な能力となっている。エアバスとロッキード・マーティンの能力を結合することで、我々は21世紀の安全保障確保のための挑戦に応える先進的空中給油ソリューションを提供する良い位置を占めるだろう」と述べた。
 エアバスのトム・エンダースCEOは「米空軍は最良の空中給油技術と能力を地球上全てで実現するのに相応しく、ロッキード・マーティンとエアバスという偉大な企業チームは正にそれを提案するのだ」と述べている。
 両社はエアバスA330MRTTを核心として、幅広い機会を検討するため共同でアプローチする。将来の給油機の「a fee-for-service」の仕組みのコンセプト化のような、直近の厳しい空中給油需要を支える方法を目標としているという。将来の戦場の厳しい環境下で運用される次世代給油機への要求に合致し、不足している空中給油サービスの提供を如何に行うか探求していくことになる。
 エアバスのA330MRTTは世界十数ヵ国で採用されている。米国では空中給油機の機種選定でボーイングのKC-46Aに破れているが、KC-46Aの調達計画は179機であり、代替すべき老朽化したKC-135の機数に比べ、全ての需要を満たせるものか不明であり、ロッキードとエアバスは訓練支援などと同様な民間保有給油機によるサービス提供のような新たなビジネスを追求するものとみられる。

 

※写真=MOAに署名したロッキード航空機部門のミッシェル・エバンズ上級副社長(左)とエアバス防衛・宇宙部門のフェルナンド・アロンゾ上級副社長。A330MRTTのコクピットで撮影(提供:ロッキード・マーティン)

※写真=フランス空軍のA330MRTT(提供:エアバス)