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空自、次期政府専用機777-300ER型機を報道公開
運用開始に向け、部隊一丸となって訓練実施
航空自衛隊は12月6日に、次期政府専用機となる777-300ER型機の1番機を、政府専用機を運用する航空自衛隊特別輸送隊と専用格納庫のある航空自衛隊千歳基地で報道陣に公開した。航空自衛隊が公開した次期政府専用機777-300ER型機1号機は、今年8月に航空自衛隊に引き渡されたばかりの新造機で、来年4月の就航に向けて、国内主要空港への寄港等で性能確認試験を行っている段階だ。また12月中に2番機も航空自衛隊に配備予定となっており、現行の政府専用機747-400型機が引退する2019年3月末までは、都合4機の政府専用機が存在する形となる。
報道公開に先立ち、千歳基地内では記者向けのブリーフィングが行われ、特別輸送隊司令の富崎秀樹1等空佐は挨拶のなかで、「特別航空輸送隊は1993年の編成以来約25年間、天皇皇后両陛下や内閣総理大臣等の国賓等輸送の任務を実施してきた。今年度は現行機である747型機での任務運航を実施しつつ、2019年度以降に運用開始予定の777型機での訓練を、今まさに部隊一丸となって実施している」と述べて、現行機での任務遂行と新たな機体の習熟を行い来年度の次期専用機導入に対し準備を整えつつあることを示した。
777-300ER型で燃費よく遠くまで飛べるように
1番機は運用試験中、海外空港への飛行も検討
報道公開時はあいにくの曇り空であったが、千歳基地の専用格納庫前には現行機2機とともに並べて、新旧の政府専用機3機が全てそろい踏みとなった。次期専用機は、操縦室や貴賓室等のほか、会議室や秘書官区画、随行員区画、一般客区画等の設備は、現行機と同様に用意してあるとのことで、通信機能や各種設備を最新の国際線仕様にしてある。
次期政府専用機は777-300ER型機をベースとしているため、機体寸法上では長さが現行機に比べ3メートル程増しているが、747-400型機をベースとしていた現行機と比べ、2階席がなくなった分内部容積は狭くなっており、一般客区画等各区画で少しずつ寸法を切り詰めて各種設備を収めているとのことだ。
さらに現行の747-400型機をベースとした政府専用機はエンジンが4基あったが、次期政府専用機では2基となる。燃費性能が向上したことで、その航続距離は約1万4000キロと、現行機の約1万2600キロから約1400キロ程延びるが、最大離陸重量は約348トンと現行機の約363トンから約15トン程減少している。
また8月に配備された次期専用機1号機は12月現在、国内主要空港やオーストラリア・シドニーへの寄港を行って、運用試験を実施している。これまでに寄港したのは国内では函館、中部、成田、羽田で、海外ではオーストラリア・シドニーへ寄港しており、これから海外への寄港も検討しているとのこと。
※写真=公開となった次期政府専用機777-300ER型機1号機と現行機2機、新旧の政府専用機3機が全てそろい踏みとなった。
※写真=85席ある一般客区画の座席はANA国際線のプレミアムエコノミークラスシート相当だ
※写真=21席ある随行員席は1-2-1アブレストでビジネスクラスシート相当となっている
※写真=会議室は必要に応じてパーテーションで仕切ることで個室2つとしての利用が可能(提供:航空自衛隊)
※写真=今回公開されなかったが、コピー機等各種事務機器を備えた事務作業室等の区画も現行機同様に備えているとのこと(提供:航空自衛隊)