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2024.05.28

WING

羽田衝突対策検討委、5つの方向性で取りまとめ

 交信やシステムのあり方など検討して対策へ

 国土交通省航空局は5月27日、羽田空港で発生した誤進入による衝突事故の対策検討委員会を開いた。今回第6回目の会合ではこれまでの論点を整理して、具体的な対策の方向性を5点示した。1点目が管制官とパイロット(車両運転者)との管制交信のあり方について。2点目が管制官やパイロットなどへの注意喚起システムのあり方。3点目が管制業務の実施体制のあり方について。4点目が関係者間の連携・推進体制のあり方。そして5点目が新たな技術の調査・研究のあり方。この5点を柱に管制指示を巡る事故対策の中間取りまとめを今夏にも示す考えだ。
 事故対策検討委員会が中間とりまとめに向けて示した基本的な考え方は、航空交通が人・運用・技術で構成される複雑で動的なシステムとなっているため、リスク低減策を複合的・一体的に考えるべきだとした。滑走路上で衝突事故のリスクを低減させるためには、3段階の対策として「(滑走路へ)入れない/入らない」、「早期に気付く/気付かせる」、「速やかに離脱する/離脱させる」を講じるべきだとし、その際には航空機だけではなく、走行する車両にも対策を講じる。
 中でもヒューマンエラーについては、滑走路誤進入の多くが思い込みや失念、言い間違い、聞き間違いによって発生しているとした。そこで、ヒューマンエラーなどのリスクを低減するため、管制官とパイロット・車両運転者との共通認識の醸成や、乗員間のコミュニケーション、関係者間の連携が重要であり、事故につながらないようにデジタル技術などでサポートするフューエルセーフの仕組みの強化や、さらなる技術革新が必要だとした。さらに、リスク低減に向けた新たな取組みが別のリスクを生じさせないよう留意するべきだとした。