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ドクタージェット継続運航を、小さな命に高度専門医療届け
広がる地域医療格差、PICU入れず年100名以上亡くなる可能性も
今年4月から中日本航空と協力してドクタージェットによる重症患者の搬送をスタートした認定NPO法人日本重症者ジェット機搬送ネットワーク(JCCN、理事長:福嶌教偉〈千里金蘭大学学長〉)が、継続的な運航を目指し、第2弾のクラウドファンディングをスタートした。クラウドファンディングの実施期間は10月6日まで。その目標金額は1億円だ。
7月9日に都内で記者会見に臨んだJCCNの福嶌理事長によれば、1億円を調達することができれば、「1年間に約30名~40名の患者を搬送することができる」とのこと。安定的なドクタージェットの継続運航を目指しており、「助けられるはずの命を諦めることは絶対にできない」ことを強調する。
とりわけ小児重症患者の搬送に力を入れるJCCNだが、日本集中治療学会の調べによれば、2019年小児集中治療室(PICU)で治療を受けた重症小児は4900例、PICU以外で治療を受けたケースは5200例だった。むろん、PICUで治療を受けたとて、すべての患者が助かる訳ではないが、それでもPICUで治療を受けた場合とそうではない場合では、死亡率や予後に差異が生じることになる。ちなみにPICUで治療を受けた場合、その死亡率は2~3%(年間98~147名)である一方、PICU以外で治療した場合の死亡率は5%(年間260名)に達しており、「PICUに運ばれていれば、100名以上の小児が助かった可能性がある」(福嶌理事長)というのだ。
全国にPICUを備えた医療施設はわずか19カ所に留まっている。つまり全県にPICUが整備されている訳ではなく、人口が密集する大都市圏に限られている。そこには明確な「地域の医療格差」が生じてしまっていることが実態で、PICUにおける集中治療を受けることなく、失われてしまった命、今なお苦しむ命があることを示唆している。
※クラウドファンディングのURL
「飛ばそう、ドクタージェット」救える小さな命を高度専門病院へhttps://readyfor.jp/projects/JCCN-doctor-JET
※写真=幼い命を救うために奔走する医師たち。ドクタージェットの有用性を訴える