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2024.07.11

ウイングトラベル

★HIS夏休み海外旅行、前年比2.5%減と低迷

 コロナ前52.3%、平均単価4.7%増とさらに上昇

 

 エイチ・アイ・エス(HIS)が発表した2024年夏休み(7月20日~8月31日)の旅行予約動向によると、海外旅行予約者数は前年同期比2.5%減、平均単価は同7.9%増の19万2000円となり、円安、物価高、燃油高騰の影響で、海外旅行者数はコロナ前どころか前年も下回り、旅行単価はさらに上昇した。コロナ前の2019年同期比では52.3%と前年を下回り、5割台を低迷している。国内旅行予約者数も前年同期比13.5%減、平均単価は同4.7%増の8万9000円で、円安と物価高は旅行意欲そのものに影響を及ぼしている。
 HISによると、2023年の同調査の予約者数は前年同期比703.7%と急回復しており、2019年同期比は53.4%に回復した。海外旅行需要がコロナ前から緩やかな回復傾向にあったが、今年に入っては緩やかな回復から低迷期に移行したと懸念する声が広がっている。
 海外旅行予約数の人気先はソウル、台北、ホノルルの順。以下はバンコク、シンガポール、プサン、バリ島、セブ島、グアム、香港と続き、旅行単価の上昇でホノルル、グアムを除いてアジアが上位を占めた。
 ただ、11位ロンドン、14位ロサンゼルス、15位パリ、16位ローマ、18位ミラノ、19位バルセロナと、10位以降はヨーロッパ、米国本土が占めており、HISでは「長距離路線の需要は高く、人気の低下までは繋がっていない」としている。
 パリは前年8位からランクが下がり、7月末から8月中旬にかけてオリンピックが開催されることから宿泊費が高騰し、予約も取りづらくなっている影響が出ているようだ。
 HISによると、前年から予約者数が大きく上昇したのはカイロで、約9割がツアーの予約だった。エジプト周遊をはじめ、トルコやギリシャの2カ国周遊ツアーの予約が増加した。
 モンゴルの首都ウランバートルも予約が急上昇しており、ドラマの舞台としても注目されたほか、ベストシーズンのモンゴルは静岡、福岡、広島、名古屋からチャーター便を利用したツアーを展開し、各地域から直行便で行く夏の旅行先として需要が高まった。
 HISでは、観光や食事が付いたツアーなら現地でかかる費用が抑えられ、物価高などを気にせず旅行が楽しめると、ツアーのメリットを強調している。
 今年の夏休みはお盆期間が週末に挟まれ、8月10日から18日まで9連休となるため、この期間の需要が高く、山の日前後の出発に人気が集中し、出国のピークは8月10日、帰国のピークは連休後半の8月17日。顧客層別では子供連れの旅が42.2%、カップル・夫婦の旅が18.5%と、家族旅行の割合が高い。年代別では20代が18.3%、40代が16.5%、50代が16.0%と続く。男女別では女性が61.7%と旅行意欲は高い。

 

 国内旅行も前年比13.5%減、平均単価4.7%増
 支援終わり需要落ち着き、円安と物価高影響も

 

 国内旅行予約者数が前年同期比で13.5%減となったことについてHISは、全国旅行支援が昨年12月で終了し、一部で県独自の旅行支援策を実施しているものの、国内旅行の急な需要拡大は落ち着き、平時に戻ったとみている。ただ、円安による訪日外国人旅行者の増加と物価高で、宿泊費などが上昇し、国内旅行平均単価が前年比4.7%増の8万9000円と高騰しており、円安や物価高が国内旅行需要にも影を落としている。
 国内旅行の人気都道府県先は、沖縄、北海道、長崎は昨年と変わらず。以下は福岡、鹿児島、大阪、東京、広島、千葉、香川の順。5位の鹿児島は近年予約者数が増加し、コロナ前2019年比でも34.9%増と好調。屋久島、奄美群島の自然の魅力が需要を高めている。
 国内旅行の出発ピークは7月28日、7月21日と日曜日が人気。週末利用ではあるものの、金曜、土曜出発より安い価格で選ばれている。

 

※写真=夏休みの旅行予約数は海外、国内ともに前年割れ。円安、物価高が旅行意欲に影響(羽田空港)