ウイングトラベル
★トルコ観光広報・開発庁、日本人誘致へ活動積極化
日本の旅行業界向けへの情報発信迅速化を約束
トルコ観光広報・開発庁(TGA)は7月13日(現地時間)、日本旅行業協会(JATA)とターキッシュエアラインズ(THY)が共同で企画した東トルコFAMツアーでトルコを訪れた日本の旅行会社関係者らと会い、意見交換を行った。ミーティングに出席したデニス・イムセル イベントアシスタントマネージャーは、日本からの旅行者誘致促進に向けて、旅行業界やメディアなどさまざまな関係者とのコミュニケーションを積極的に行っていき、マーケットニーズに合わせたプロモーションに取り組んでいく方針を明らかにした。さらに、トルコの観光政策に関する日本への情報発信の少なさや遅れが指摘されていることを受けて「日本からの声をしっかりと受け止めて、トルコ政府内の関係者に働きかけていく」と述べ、より迅速な情報提供に取り組んでいくことを約束した。
※写真=日本の旅行会社関係者などとの意見交換を行ったトルコ観光広報・開発庁のデニス・イムセル イベントアシスタントマネージャー
南東部の危険度レベル引き下げでツアー造成の幅広がる
一方で突如の観光施設有料化など戸惑いの声も
日本からトルコへの旅行を取り巻く状況としては、5月に南東部のガジアンテップ、シャンルウルファの県都以北エリアが外務省は発出する海外安全情報の危険レベルにおいてレベル2の「不要不急の渡航は止めてください」から、レベル1の「十分注意してください」に引き下げられた。
これはJATAを始め、旅行会社や駐日トルコ大使館からの積極的な働きかけに加え、今年3月にイスタンブールで開催された「日土観光交流促進協議会」の議論などを踏まえ実現したものだ。危険レベルの引き下げにより、旅行会社によるパッケージツアーでの訪問が可能となった。今回のFAMツアーはこの動きを受けて実施されたものだ。
今回危険レベルが引き下げられたエリアには、人類最古の遺跡として知られるギョデクリテペやユネスコの「シティ・オブ・ガストロノミー(食文化創造都市)」に登録されているガジアンテップなどが含まれるなど、日本の旅行者からの高い関心が寄せられるエリアも含まれている。
トルコ南東部エリアについてTGAのイムセルアシスタントマネージャーは「トルコの人々も新型コロナウイルスのパンデミックが明けてから、いち早く訪問してみたいと考えていたエリアであり非常に魅力的なエリア。おいしいレストランが増えているほか、素晴らしい歴史遺産が豊富に存在する。是非、日本からも多くの人々に訪れてもらいたい」と太鼓判を押す。
訪問可能なエリアが増える一方で課題も表面化している。それが、トルコ政府による観光政策の動きが日本までなかなか行き届いていないことだ。
一例として、今年1月からイスタンブールの著名な観光施設の1つである「アヤ・ソフィア」では新たに25ユーロ(約4300円)の入場料を徴収することとなったが、この情報は日本の旅行業界サイドに伝わったのは、徴収開始の直前だったという。
この点も含め、今回のミーティングに同席したJATAの阿部かすみ海外旅行推進部副部長からは「あまりにも情報発信が直前すぎることにより、ツアー参加者に迷惑をかけてしまうことにつながるなど、旅行会社から戸惑いの声が寄せられている。また、トルコの観光政策に関する情報があまりにも少なすぎる」と指摘。その上で「観光政策については、いち早く日本の旅行業界にも伝えてもらいたい」と強く求めた。
これに対してイムセルアシスタントマネージャーは「実際に政策面を担うのは文化観光省であるが」と前置きした上で「観光プロモーションを担う立場としては、日本の旅行業界からの声を受け止めて把握した上で、政府内にもしっかりと要望を伝えていきたい」と応じ、より迅速かつ円滑な情報提供を目指していく考えを示した。
※写真=トルコ南東部の危険度レベル引き下げでツアー造成の選択肢が広がった(写真はギョデクリテペ遺跡)
※写真=JATAとターキッシュエアラインズが企画したFAMツアーの模様
多彩なテーマの観光動画を制作
観光モデルコースの構築などにも注力
TGAは2019年に発足した組織で国内外の観光においてトルコのブランディングを確立させ、観光のサービスの質向上に向けた取り組みを行うとともに、世界に向けたプロモーション活動を担っている。
現在はウェブサイト「Go Turkiye.com」を立ち上げ、トルコ各地域の観光資源を始め、食やサステナビリティなどさまざまなテーマに即した動画コンテンツを制作し、多彩な視点でトルコの魅力を訴求する取り組みを展開している。日本語での紹介はまだ実現していないが、英語やドイツ語、中国語など10の言語でコンテンツを紹介している。
また、「グリーン・エクスペリエンス」として、サイクリングやトレッキングなどのプロモーションにも力を入れている。
食関連ではガジアンテップのようなユネスコの認定を受けた都市が複数存在していることなど多彩な魅力を有している点を前面に押し出したプロモーションを展開。さらに、ワインやオリーブをテーマとした観光ルートも積極的に提案していく。
旅行業界向けには「ターキー・スペシャリスト・コース」という研修プログラムを用意。グローバルでトルコ観光に関する専門家の養成も図っていく考えだ。
本紙との取材に応じたイムセルアシスタントマネージャーは「TGAは発足から間もないこともあり、周辺国・地域と比べて海外プロモーションについては遅れをとっているのが実情だ。まずは、それぞれのマーケットがどのような内容に興味があるのかをリサーチしていき、リサーチ結果に基づきプロモーション動画の制作に力を入れていきたい」と述べた。
日本からの海外旅行ニーズ調査に注力
旅行業界やメディア関係者などの招請強化
日本マーケットに関して、イムセルアシスタントマネージャーは「大型連休などの期間において日本人が海外旅行に対してどのような動き方をしているのかを把握したい。そのために、今後も旅行業界関係者やメディア、インフルエンサーを積極的に招請していき、意見交換を行っていきたい」と述べた。
さらに「歴史や文化資源だけでなく、リゾートの魅力や自然をテーマとした観光素材についても積極的にPRしていき、日本人のトルコ観光における選択肢を増やしていければよいと考えている」とし、日本の関係者とのコミュニケーション強化に一層注力していく考えを示した。
(※研修旅行の詳細については後日「週刊ウイングトラベル」に掲載」)
※「Go Turkiye.com」URL
https://goturkiye.com/
※写真=多彩なテーマの観光動画を制作して世界に発信(画像は「Go Turkiye.com」のウェブサイトより)