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2024.08.21

ウイングトラベル

★サステナブルな国内旅行「GREEN JOURNEY」

 日産、日本旅行など14社が推進委員会を発足

 

 サステナブル(持続可能性)を前面に打ち出した新たな国内旅行のあり方を提案する新たな取り組みがスタートする。日産自動車と日本旅行を中心に、旅行を通じて環境への配慮や地域課題解決の実現を目指す新たなプロジェクト「GREEN JOURNEY(グリーンジャーニー)推進委員会」が発足した。同委員会には日産、日本旅行に加え、JRグループなど全14社が参画。さらに環境省や東北大学とも連携し、産官学が一体となって取り組みを進めていく。今後は持続可能性や関係人口の創出などを意識した旅行商品の販売などを行っていき、2050年まで国内旅行におけるCO2排出ゼロの実現を目指していく考えだ。

※写真=国内旅行において新たなサステナブルな旅のあり方を提案する「GREEN JOURNEY推進委員会」が発足した

 

 EV利用など環境配慮型の旅行商品を造成・販売
 2033年に全国200地域で展開、1000万人超の利用目指す

 

 旅行・観光産業は世界のCO2排出量の約1割以上を占めており、その大部分が旅行者の移動から発生しているといわれている。また地域の関係人口を増やし、地域の経済・文化においてサステナビリティに貢献していくことも観光業に求められるようになっている。
 そうした中で、電気自動車(EV)の販売やインフラ普及などの取り組みを積極的に展開してきた日産と国内旅行における新たな姿の実現を目指す日本旅行の2社が発起人となり、業界の垣根を超えたさまざまな事業者へ協力を要請。全14社が手を組んだ共同体としてグリーンジャーニー推進委員会を発足することとした。
 グリーンジャーニーの定義として同委員会では「空気がおいしくなる移動を」「その土地のとれたてを、いただきます」「地球にもやさしい宿泊を」「旅での体験を、地域の貢献に」「思い出と気付きも、お土産に」という5つのポイントを設定。このコンセプトに基づいた旅行商品を日本旅行が販売元となり展開していく。
 委員会の立ち上げは日産、日本旅行が発起人となった。そしてJRグループ(JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、JR貨物)7社、地球の歩き方、おてつたび、TBWA HAKUHODO、Earth hacks、日本ジオパークネットワークが初期メンバーとして参加した。今後は一次交通事業者や再生可能エネルギー事業者などの多種多様な企業や団体の賛同を募っていき、さまざまな側面からグリーンジャーニーを進化させていく。そして、2033年までに全国200地域でコンセプトに基づいた旅行商品を展開。延べ1000万人の参加を目標として活動を展開していく方針だ。

 

 新たな旅のスタンダード目指す
 サステナブルを意識した行動変容実現

 

 20日に都内で行われたグリーンジャーニー発表会見において、発起人である日産の神田昌明常務執行役員は「これまで、電気自動車の普及や利用者向けの優遇施策なを展開してきた。今後さらなるCO2排出量の削減を進めていく中で、観光産業に着目した。今後はサステナブルを意識した行動変容につなげていきたい」と述べた。また、日本旅行の小谷野悦光代表取締役社長は「CO2排出量削減に向けて旅行業界として何かできないかという中で今回日産から声をかけてもらった。今後は業界の垣根を超えて環境配慮に向けた取り組みを展開するとともに、とことん楽しい旅を提供していき、新たな旅のスタンダード実現を目指していきたい」と意欲を示した。

※写真=GREEN JOURNEY推進委員会の発起人である日産自動車の神田昌明常務執行役員(左)と日本旅行の小谷野悦光代表取締役社長(右)

 

 第1弾のツアーは阿蘇と伊勢志摩で展開
 移動・宿泊で環境配慮、地域で唯一無二の体験を

 

 グリーンジャーニーの第1弾の企画は、以前からサステナビリティを意識した取り組みを積極的に推進してきた熊本県・阿蘇エリアと三重県の伊勢志摩エリアの商品を用意した。
 旅先の移動においては日産の電気自動車を利用する。また、宿泊に関しては地元の食材を使った食事や環境にやさしいアメニティなどサステナブルな工夫のある宿泊施設を用意。ゆったりと癒されるだけで地球環境や地域社会に貢献できるという点を意識した。
 現地のアクティビティについては「CONNECT PROGRAM(コネクトプログラム)」という新たなコンセプトの企画を用意する。これは地元産業の発展や文化の継承などサステナブルな取り組みをしている地元の人がホストとなり、プログラムを用意する。旅行者はホストとの交流を通じてその土地ならではの産業や文化に直接触れることができる。
 伊勢志摩の旅行商品では、次世代の養殖方法を活用して志摩でカキの養殖の発展に取り組んでいる石川隆将さんから学ぶ養殖や意見と伝統食「きんこ芋」の継承を行っている上田圭佑さんときんこ芋の製造体験企画を用意した。そうした地域住民と交流する機会を提供することにより、旅行者にとって「第2のふるさと」を作るようなで環境を醸成。交流人口の増加につなげていきたい考えだ。
 ツアー中の食についても各地域のレストランなどと連携し、地域の食材を活用した。料理の提供にあたっては東北大学が研究を進める「美食地政学」の考えに基づいて用意した。
 阿蘇のツアーでは、あか牛を利用した料理を提供する。阿蘇のあか牛は放牧して育てられ、成長過程で草原の草を食べるため草原の保持につながるとされている。
 伊勢志摩のツアーでは食材として利用されることが少ないウツボやアイゴを使用した魚を活用して作られた料理を用意。食を通じたサステナブルな体験を提供する。
 今回の発表会には阿蘇市の佐藤義興市長、志摩市の橋爪政吉市長も来場。グリーンジャーニーのツアーを活用した旅行者を歓迎したい意向を示した。
 また、新たな旅行体験を提供するためにLINEのミニアプリを用意。LINEのスタンプラリー機能を用いて訪問した場所でポイントを貯めると日常利用できるサステナブルなアイテムなどさまざまなグッズと交換することができるほか、各訪問場所に設置された二次元バーコードを読み取るとその地域の伝統文化や地域のサステナビリティに関する情報を読むことができる仕組みを構築した。
 これらの取り組みを通じて「環境にやさしく、地域はうれしく、自分たちはとことん楽しい旅」の実現を目指す。今回発売したツアーは8月20日から予約受付を開始。9月27日からスタートする。

※写真=GREEN JOURNEY第1弾ツアーは阿蘇と伊勢志摩に。「ムーミン」のキャラクターをイメージに起用した

※写真「GREEN JOURNEY伊勢志摩」のモデルコース

 

 「デカポスコア」用いて効果測定
 2050年までに国内旅行CO2排出ネットゼロ実現へ

 

 グリーンジャーニーの旅では日産の電気自動車活用やサステナブルなグルメ環境にやさしいアクティビティなどの提供により、実数としてCO2排出量を現在20%以上削減できるという。
 グリーンジャーニー推進委員会の試算では現在2030年までに旅行時の移動におけるCO2排出量を累計4771トンは削減できる見込みであるとしている。さらに各地のツアーのアクティビティや食などのCO2排出削減率については、委員会参画企業の1社であるEarth Hacksが提供する「デカポスコア」を用いて算出する。
 今回販売するグリーンジャーニーの旅行商品では、ツアーのアクティビティや食などのCO2排出削減量についてデカポスコアで算出。一例として伊勢志摩のツアーで提携する事業者が提供する海洋パラスチックごみをアップサイクルしたお土産では37%のCO2排出削減効果があるという。
 こうして小さな取り組みに至るまでサステナブルの要素を取り入れることにより、旅行者のサステナブル意識の向上を図っていく。 グリーンジャーニー推進委員会では今後も一次交通事業者や再生可能エネルギー事業者などの多種多様な企業や団体の賛同を募っていく。そうしてさまざまな側面から国内旅行におけるCO2排出量削減に取り組み、国内旅行における2050年のCO2排出ネットゼロ達成を目指す。

 

※GREEN JOURNEY推進委員会推進委員会サイト
https://www.greenjourney-project.jp/

 

※GREEN JOURNEYツアー予約サイト
https://www.nta.co.jp/kokunai/greenjourney/