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2018.12.19

WING

陸自、11月の迫撃砲弾着弾事故の調査結果発表

関係者19名が処分、再発防止策を公表

 

 陸上幕僚監部は12月18日に、11月14日に滋賀県高島市の饗庭野演習場で発生した迫撃砲弾の着弾による事故調査結果を発表した。この事案は既報の通り、第37普通科連隊の迫撃砲射撃実施中に、弾着予定地域からはずれた演習場内に迫撃砲弾が着弾、破片等が演習場外の国道沿いに停車していた一般車両に危害を与えたというもので、この事故による負傷者等はなかった。

 

 方位角設定のミスからミスが積み重なる
 連絡体制の整備不十分から通報遅延が発生

 

 発表によると事故原因は、
 1.射撃実施部隊の分隊長が射撃準備の際に、射撃指揮班から指示された方位角ではなく、思い違いから22.5度誤った方位角を分隊員に指示したこと。
 2.射撃指揮官や射場勤務員が本来実施すべき安全管理義務を怠った結果、分隊長の誤りを是正できなかったこと。
 3.1弾目と2弾目の着弾地が不明な「見えず弾(射撃したが着弾する景況が確認できない砲弾)」であったにも関わらず、射場指揮官や射場勤務員が諸元点検を怠ったこと。
 4.その上で、射距離を200メートル増して3弾目を射撃したこと。
 の4点を挙げて、再発防止策として、射撃準備段階における安全管理義務の教育および点検要領の徹底や迫撃砲の射向点検要領を改善するほか、2ヵ所以上からの観測およびビデオカメラ等に設置による弾着区域内の監視体制強化等を発表した。
 また当該事案では自治体等への通報遅れが発生しており、その経緯と原因としては、
 1.演習場外へ危害が及ぶ可能性を確認した場合に、今津駐屯地業務隊長が直ちに高島市長に通報すべきとの、覚書上の規定について認識が不足していたこと。
 2.業務隊からの関係自治体等への部外通報業務フロー等が事前に未整理であったこと。
 3.連絡体制を円滑にするための事前訓練等の取組みが未実施であったこと等により、連絡体制の整備不十分であったことから、高島市長への直接通報に遅れが発生。
 として3点をまとめた。再発防止策としては、覚書の解説書作成と関係者への教育および業務隊長交代時の確実な引継ぎや今津駐屯地業務隊長から高島市長等への直接通報を実施し得る速報体制の整備と速報伝達訓練実施等の平素からの連絡態勢の強化を挙げている。

 

※画像=迫撃砲射撃時の体制と事案発生時の状況図(提供:陸上幕僚監部)

 

※画像=再発防止策として、左右の射撃限界規定や射向点検要領の改善が図られた(提供:陸上幕僚監部)

 

※画像=ビデオカメラ等の設置により、弾着区域内の監視体制を強化する(提供:陸上幕僚監部)