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2018.12.19

WING

九州地域航空3社、系列超えた事業組合設立へ

持続可能な地域航空実現、設立3年後統合に向け検証

 

 航空局が設置した「地域航空の担い手のあり方にかかわる実務者協議会」は12月18日に検討結果報告書を示し、2019年度中に系列会社の枠を超えた有限責任事業組合(LLP)の設立を目指すことを明らかにした。国内大手の全日本空輸(ANA)および日本航空(JAL)と、地域航空の天草エアライン(AMX)、オリエンタルエアブリッジ(ORC)、日本エアコミューター(JAC)の3社を構成員として、経営改善効果の試算や、運営ルールづくりを開始するとして、各社合意した。議論の中心だった、持株会社設立などによる経営統合については継続課題に。組合設立後3年経過した時点で、組合の取組み結果を総括・検証する。
 同検討は、地域航空を取り巻く環境が一層厳しくなる見込みの中で、持続可能な地域航空を実現するため始まった。今年3月には「持続可能な地域航空のあり方に関する研究会」の最終取りまとめが示され、地域航空を担う組織が“一社化(合併)または持株会社設立による経営統合の形態を模索するべき”との方向性が示されたところ。それを受けて、今年4月に同協議会が設置され、LLP制度を採用するかたちとなった。
 このたび各社が合意したLLP制度では、有限責任制によって事業上の出資者の責任は出資額まで。意思決定は原則、出資者全員の同意によって行われる。業務執行には出資者全員が参加する。こうした特徴から、小規模な地域航空会社にとって参加しやすく、共同事業に当たり公平性・透明性を確保することができるという。このたびの協業は九州地域に限っていて、北海道地域についてはこの九州地域の取組み成果を踏まえて、必要に応じた同様の取組みを検討していく考えだ。

 

※図1=LLPの共同事業のイメージ(提供:航空局)

 


※図2=LLPの検討体制(提供:航空局)