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2024.09.19

WING

天然不凍タンパク質匹敵、p-テルフェニル分子開発

 名古屋工大らチーム、航空機など多様な分野で応用も

 航空機の着氷は、安全運航の大きな脅威だ。さらには欠航や遅延の発生など、エアラインの運航品質にも直結する。そうしたなか名古屋工業大学 生命・応用化学類の柴田哲男教授、物理工学類の尾形修司教授らの研究グループが、天然の不凍タンパク質に匹敵する不凍作用を示すp-テルフェニル分子の開発に成功した。これは芳香環の1・4位に別の芳香環が炭素―炭素単結合で結合した3つの芳香環からなる分子だ。
 今後分子構造や合成方法の改良を進めることにより、より強力で多様な人工不凍作用物質の開発に繋がる可能性があり、航空機、機械、医療、食品など、凍結が関与する様々な産業分野における応用が期待されそうだ。
 南極や北極など、極寒の環境に生息する魚類や植物、昆虫などは氷点下でも凍結することがない。一体、何故だろうか?―――。その要因の一つとして明らかになっているのが、これらの生物の体内には、氷結を制御する不凍物質が存在しており、この物質が氷の形成と成長を抑制する役割を果たしているということだ。彼らは極寒の環境を生き抜くため、体内で不凍タンパク質を生成し、氷の形成や再結晶化を抑制する独自のメカニズムを独自に進化させてきた。