ウイングトラベル
【潮流】石破内閣の観光政策
自民党総裁選挙、国会の内閣首班指名選挙を経て、石破茂内閣が10月1日に発足し、石破首相は4日に国会で所信表明演説を行った。石破政権になって観光政策はどうなるのか。所信表明演説で、石破首相は政策の柱として「ルール」「日本」「国民」「地方」「若者・女性の機会」の5つを守るとし、その中の『地方』を守るための観光政策を打ち出した。
鳥取県八頭町出身の石破首相は、ことさら「地方」に対する思いが強いようだ。「地方創生の原点に立ち返り、地方を守り抜く」と述べ、10年前に就任した初代地方創生担当大臣に就任したことに言及し、文化庁の京都移転、地方創生推進交付金の創設などに取り組んだことを引き合いに出した。
また、同じ山陰地方で島根県出身の竹下元首相の「地域が自主性と責任を持って、おのおのの知恵と情熱を生かし、小さな村も大きな町もこぞって、地域づくりをみずから考え、みずから実践していく」という言葉を引用し、「地方こそ成長の主役」として「地方創生2.0」を再起動させると明言した。
竹下内閣といえば、各自治体に一律1億円の交付金を支給した「ふるさと創生事業」が印象に残る。各自治体が地域特産品の開発や観光インフラの整備、地元文化の保存・振興などに投入し、無駄遣い的な部分が批判されたが、地方創生への第一歩として評価もされる。福田康夫内閣が導入し、安倍内閣に受け継がれ、今も運用される「ふるさと納税」に形を変えてつながったとも言える。