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エアバス・東芝、水素航空機向け超電導モーター共同研究
2MW級超電導モーターを開発へ、テックハブ・ジャパン1号案件に
エアバス・アップネクストと東芝エネルギーシステムズは10月16日、次世代の水素航空機開発に向けて、超電導モーター技術について共同研究することを発表した。この共同研究プロジェクトを通じて、航空機に搭載するモーターの性能を向上するための2メガワット級の超電導モーターの開発を目指す方針だ。
両社は東京ビッグサイトで開催中の「国際航空宇宙展」(JA2024 )において、この共同研究プロジェクト実施に関する調印を交わした。なお、このプロジェクトは、エアバスが今年5月に表明した「エアバス・テックハブ・ジャパン」設立後、取り組みの第一弾となる。
超電導技術は、-253度の液体水素を燃料として使用して電気推進システムを効率的に冷却する。超低温技術は、航空機の電動化にあたって電気システムにおけるエネルギー損失がほとんどない送電を実現するため、エネルギー効率と性能を大幅に向上させることができるとみられている。
同日、記者会見に臨んだエアバスのシニアバイスプレジデント兼将来技術研究責任者グゼゴルツ・オムバッハ氏によれば、液体水素が超電導を利用することで従来の推進システムに代わる手段を提供する可能性に着目し、去る2019年から水素航空機用の超電導モーター技術の調査を開始したとのこと。
「デモンストレーションを通じて非常に良い結果が得られたため、その研究開発を加速し、まずは500KWのパワートレインで既存の技術をテストした」ことを明かした。その上で「液体水素を用いた航空機は将来的に約5%の効率向上がもたらされるだろう。実際、我々は次のステップに進む。それは2MWの電力を発電することができるようにする」とし、超電導などの分野で長年の実績を有する東芝と研究開発協力に踏み切る背景を説明した。
オムバッハ氏は「計画としては、水素を活用した実証機を2030年までに飛行させる」ことを明かした。
※この記事の概要
・ 「クライオプロップ」で実証 など