ウイングトラベル
旅行業流通問題に早急な対策、業法も検討を
原トラベル懇話会会長、若者の海外旅行促進
トラベル懇話会は1月10日に新春講演会を開催し、原優二会長はオンラインによる流通の進化により、旅行業の中でも流通業者が厳しい局面を迎えていることを指摘し、「旅行業法がこの状況についていけるのか。この問題を早急に、待ったなしで検討し、何らかの形で対応しないと、流通の問題はさらに大きくなる」と述べ、時代に対応した旅行業法のあり方についても指摘した。
原会長は、「流通業は旅行・観光産業を支える大きなファクターであり、この部分をどうするか。消費者との間に旅行会社はもう1回立てるのか、立てないのか。立てないとしたら流通を産業としてどう扱うのか。業法だけでなく、実態として考えていく必要がある」と問題提起した。
原会長は、ZOZO TOWN、メルカリを引き合いに、近年の新たなオンライン流通革命について触れ、B2C、C2Cを問わず、「コンテンツの提供者を直接結びつけることがインターネットの特徴で、旅行業界でも同じことが起きている」と指摘、「企画旅行、業務旅行、団体旅行はソリューションという形でコンテンツを提供し、この部分の旅行会社は元気だが、間の流通に入っている会社は苦労している」と旅行業界の置かれた現状を端的に説明した。
また、1月7日から徴収が始まった国際観光旅客税について触れ、「アウトバウンド促進のための予算がほとんど付かないことは、期待が高かっただけに残念」と述べた。
トラベル懇話会は昨年の創立40周年を記念して、政策提言を行い、その中で、若者の海外旅行を推進に向けて、成人式でのパスポートの無料配布、若者の海外旅行を支援する基金の創設などを提言した。
原会長は、財務当局などからの反対はあるものの、「当会の意見は圧倒的多数で若者の支援をしたいということだった。政治はどう変わっていくか分からないので、我々はしつこく、粘り強く言い続けたい」と述べ、国際観光旅客税の活用による若者のアウトバウンド促進、双方交流の拡大に取り組む方針を示した。
※写真=原優二トラベル懇話会会長
金井観光庁審議官「インとアウトは車の両輪」
若者の海外体験促進へ横断的な組織設置へ
来賓として登壇した観光庁の金井昭彦審議官は、「インバウンドとアウトバウンドを車の両輪として、強力に進めなければならない」と双方交流拡大の重要性を指摘した。
金井審議官は「日本人がもっと海外へ行き、世界を知る若者を増やすことが重要。観光庁としても、とくに若者の海外体験を広げる国民的ムーブメントを醸成するために、観光庁と旅行業界の呼びかけによる関係省庁、経済界、教育界が一体となった横断的な組織の設置を進めていきたい」と述べた。
※写真=金井昭彦観光庁審議官
田川JATA会長、双方向交流で新しい時代創る
日本と海外を知ることがツーリズムの国際化
日本旅行業協会(JATA)の田川博己会長は、「オンライントラベルの台頭などで時代背景は厳しいが、JATA会長として、双方向の交流拡大にしっかりと取り組む。日本を知って海外を知る、海外を知って日本を知る。そのことがなければ、日本のツーリズムの国際化はない」と言い切った。
「次の時代が5月1日から始まるが、元号が変わるだけではなく、新しい時代を創っていくという決意が改めて必要だ。JATAとしても、トラベル懇話会の提言を含めて、しっかりと対応していきたい」と決意表明した。
※写真=田川博己JATA会長