WING
極地研、磁気嵐で高度500kmのヘリウム急減
世界初観測、宇宙天気予報の改善などに寄与
国立極地研究所、東北大学、電気通信大学、産業技術総合研究所の研究グループは、2023年2月26日世界共通時19時頃に発生した磁気嵐によって、地球大気の最上部にあたる高度500 km付近に存在するヘリウムが、急激に減少する現象を世界で初めて観測することに成功した。
この現象は、スバールバル諸島ロングイヤービン(北緯78度)に設置された光学機器と大型レーダーの同時観測により明らかになり、磁気嵐発生後わずか1時間以内にヘリウムの減少を観測によって捉えた。その後、数日程度、ヘリウムが減少した状態が継続したという。
この観測結果は、磁気嵐の影響が地球大気の内部で「下から上」へと伝搬し、地球大気の外縁部で人工衛星や国際宇宙ステーション(ISS)が飛翔する高度に予想以上の速さで到達したことを示すものだと説明。社会インフラを支える「宇宙天気」の予報精度の改善や予測高度範囲の拡張に寄与するとした。