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2019.01.17

ウイングトラベル

観光庁田端長官、訪日客拡大へ地方誘客に力

アウトバウンド「産業界と連携し、よい流れ継続」

 観光庁の田端浩長官は1月16日に行われた業界紙会見で昨年の訪日外国人旅行者数が3000万人を突破し「いよいよ4000万人の実現が視野に入ってきた」とした上で、「今年は特に地方への誘客促進に一段と力を入れていくとともに幅広い国から旅行者を受け入れていくための取り組みを強化していく」考えを示した。また、過去最高となる1895万4000人となった日本人出国者数については「昨年は航空座席数が増加したことなどを背景として、良い流れを作ることができた。今年もこの流れを継続できるよう、産業界と連携して取り組んで行きたい」と述べた。
 2018年の訪日外国人旅行者数は前年比8.7%増の3119万2000人となった。国・地域別に見ると重点20市場のうち香港を除く19市場で過去最高を記録。「中国が初の800万人超えとなる838万人となったのを始め、欧米豪9市場では11.5%増の363万人となるなど、幅広い地域から多くの旅行者に訪問してもらった」と田端長官は振り返る。
 一方、アウトバウンドに関しては「昨年は航空座席数が大幅に増えたことや中国、韓国への旅行者が増えたこと。また、国内経済が好調だったことや為替動向が安定していたことなどが過去最高の出国者数を達成する要因となった」と指摘した。今年については「日系エアラインによるウィーンやシアトル、パースといった新路線の開設が決まっているなど、引き続き航空座席数が増加することやゴールデンウィークの10連休の予約も好調であると聞いている。このよい流れを引き続き維持できるよう産業界と連携して取り組んで行きたい」とした。
 また、アウトバウンド促進への取り組みの一環として観光庁は「若者のアウトバウンド推進実行会議」を立ち上げ24日に初会合を開催する。これについて田端長官は「昨年の検討会で若者のアウトバウンド促進への課題として若者の海外体験へのムーブメントの醸成などが挙げられた。こうした課題に対して具体的にどのような取り組みが必要であるのかという点について会議で議論していきたい」と述べた。

 

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 旅行取引の国際ルール整備へ「業界の意見に耳傾ける」
 グローバルスタンダードに合わせることが重要

 また近年、外資系企業の参入により、国境を越えた旅行取引が増加する中で、旅行業界内から旅行取引における国際法の整備について問題提起するべきといった声が寄せられている点について田端長官は「インターネット環境の普及を受け、外国企業を含めてさまざまなビジネスを展開している。以前にも述べたが、旅行サービスの信用の失墜につながる事案については今後も厳しく対応していくつもりだ。また、日本の旅行サービスにおけるルールがもしもグローバルスタンダードにマッチしていない部分があるのであれば、スタンダードに合わせていく必要がある。旅行取引のルールのあり方に対しては産業界などからさまざまな意見に耳を傾けていきながら対応していきたい」という考えを示した。

 

※写真=業界紙会見に応じる田端浩観光庁長官