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2024.12.11

WING

第214回「日本が危ない」『核』について考え議論せよ

より緊迫化するウクライナ

陰の主役の動向はいかに

 

 ウクライナ情勢の緊迫の度が強まっている。北朝鮮が事実上参戦したほか、ロシア大統領ウラジミール・プーチンは核兵器の使用条件を引き下げる改定法案に署名した。米大統領ジョー・バイデンがウクライナに対し、長距離ミサイルATACMSによるロシア領内への攻撃を容認したことへの対抗措置だが、一連の動きの「影の主役」は次期米大統領ドナルド・トランプだ。来年1月にトランプが権力の座に就くまでに有利な状況を作ろうとロシア、ウクライナ双方の動きが活発化し、危険な状態となっている。
 大統領選直後の11月6日、米有力紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はトランプに対し側近らが停戦に向けた複数の提案を提出したと報じた。
 WSJの報道によると、提案は①ウクライナにおけるロシアの占領地域を現状のまま維持する②ロシアが反対するウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟についての動きを停止し、ウクライナ政府に少なくとも20年間は加盟しないと約束させる③占領地域の現状維持やNATO加盟見送りの見返りに、将来的なロシアの再攻撃に対する抑止力を高めるため、米政府などが兵器供給を続ける――との案が提示されている。
 ウクライナにとって不利な提案であり、大統領ウォロディミル・ゼレンスキーは抵抗するとみられる。ただ、プーチンは停戦に応じても戦闘を再開する可能性は高いとみられており、米国や欧州各国からの武器提供はウクライナにとって不可欠であり、ゼレンスキーとしても難しい判断を迫られることになる。

 

2.0では用意周到に準備
緩和化進むロシアの核使用

 

 大統領に当選したときの準備が遅れていた2016年の時の「トランプ1.0」と異なり、「トランプ2.0」は用意周到だ。トランプは選挙戦終盤でコロラド州、カリフォルニア州、ニューヨーク州を回った。いずれも民主党が強い州だが、トランプは自らの選挙戦ではなく激戦の下院選の共和党候補の応援が主な理由だった。すでに大統領選に勝つという前提で動いていたのだ。

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