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NIDS、中国と結びつくグローバル・サウスに注目
FOIPの維持・強化へ長期的な信頼獲得が必要
防衛研究所は12月17日に中国安全保障レポートを発表し、中国の戦略や安全保障をめぐる最新の動向など独自の分析結果を示した。2011年の発刊以来、15号目となる今回は「台頭するグローバル・サウスと中国」をテーマとして、いわゆるグローバル・サウス(GS)と呼ばれる国々へ接近を図る中国の思惑や考えに迫った。
それによると中国とGSは、欧米への不満や経済発展を望む考えなど、将来の国際秩序像を緩やかに共有し、中国の指導力を部分的に容認するが、その関係の持続性については不透明だとした。また中国がGSから支持を得て東アジアで一方的な現状変更を強めている中、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の維持・強化を目指す日本と関係国では、GSに対してニーズに合わせた長期的な信頼に基づくパートナーシップが求められるとした。
このレポートでは、近年中国が欧米主導の国際秩序では不公平だとする批判を強め、独自の外交イニシアティブを提起していることに注目。発展途上国・新興国といったGSとの連携強化を図って既存の国際秩序に挑戦していることを示す。特にGSはウクライナ戦争後、成長潜在性や政治的立場の独自性などから注目されており、中国との関係性や国際秩序への影響などを検証した。