ウイングトラベル
■業界の常識打ち破り、明るい未来の到来を
日本海外ツアーオペレーター協会会長 大畑貴彦
2024年はようやく旅行需要の回復が見られ、特にインバウンドについては、訪日観光客が日本での消費で、日本経済全体を大いに活性化させました。反面、これに伴いオーバーツーリズムやホテル不足、または宿泊業界における労働力不足が問題となっているのも事実です。また、文化の違いから外国人客のマナー違反が多く発生しました。インバウンドは外交関係や多くの外的要因によって大きく数字が変動する可能性もあり得ますので、決して楽観視せず誘致促進していただきますようお願いいたします。
一方、アウトバウンドについては、残念ながら回復に時間を要しています。これは、世界的な経済回復が進む中で、インフレや金利の動向が注目され、特に各国の中央銀行の政策が各国の経済に与える影響が大きく、まさに日本の海外旅行の行く手を阻む原因の一つとして、円安がアウトバウンドの回復に大きく影響を与えたと言えます。昨今では日本、アメリカともにリーダーが交代しましたが、今後も地政学的な緊張が続く中で、益々国際協力や外交の重要性が増すものと思われます。我々旅行業界は、ビジネスがまさに国際協力、外交そのものであると認識しております。
私は常々インバウンドとアウトバウンドは両輪のようにバランスよく発展していくことが重要だと申し上げておりますが、各国との交流の促進もインバウンド・アウトバウンド双方向で異文化交流を活性化させることが重要であると考えます。それぞれの旅行者は、その国の人々との交流を重視し、より深い体験をもとに、その国を理解し、尊重することが必要だと思います。
2025年は世界的な環境意識の高まりに伴い、持続可能な旅行が今まで以上に重要視されると思われます。エコツーリズムや地域社会への貢献を重視する旅行者が増加し、これらに配慮したツアーの選択が進むのではないでしょうか。また、旅行先として新しいデスティネーションが台頭する可能性が大いにあります。独自の文化や自然景観を基に、新たな体験を望む旅行者が増加すると思います。それに加えて、旅の目的として、自己成長やスキルの向上を重視し、生涯学習の重要性が今後益々認識され、それらの欲求を満たす旅の企画が不可欠ではないでしょうか。
我々旅行業界は、この仕事に従事する方々一人一人がそれらを認識し、どのように行動し、未来をどのように切り開いていくのかを試されているように思います。これまでの旅行業界の常識を打ち破り、旅行者が今何を求めているかを常に意識し、それを形にしていくことが求められています。旅行会社にしかできない、我々ツアーオペレーターにしかできない事を探求し、それらを実行し続けることにより、必ず明るい未来が訪れるものと信じています。
コロナ禍以降、OTOAとしては、海外現地での費用が円安やその他の影響で大幅に増加しており、ホテル等への支払いについてはグローバルスタンダード化しているため、先々のデポジットの要求や支払いタームが大きく変化していることを踏まえ、JATAの協力のもと、JATA会員各社に支払い早期化をお願いさせていただきました。約3年をかけ、OTOA正会員へのアンケートを数度実施し、JATAのトップに現状をお伝えし、支払いの早期化とデポジットに対する柔軟な受け入れをお願いしたところ、旅行会社各社とも仕入環境の激変に伴う支払い早期化の必要性については充分理解を示していただき、また必要な前払いについては柔軟に対応する旨、回答をいただきました。今後もこの流れは継続するものと思われますので、引き続きのご協力をお願い申し上げます。
結びに、この新年のご挨拶をお聞きになった方々全員が「海外旅行の復活」を心から願っていると信じて止みません。どうぞ本年も当協会並びに会員各社に対するご理解とご協力をお願いすると共に、皆様との「協働」を通じ、2025年を本当に飛躍の年にしたいと思います。
※写真=大畑貴彦OTOA会長