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2025.01.06

ウイングトラベル

★中野国交相、持続可能な観光立国の実現に注力

 日本の観光を一層力強い成長軌道に乗せる

 

 中野洋昌国土交通大臣はこのほど、交通・運輸関連業界紙各社とのインタビューに応じ、2024年は「訪日外国人旅行者数や消費額の回復が急速に進み、力強い成長軌道に乗っているものと受け止めている」とした上で、2025年度が最終年度となる第4次観光立国推進基本計画を踏まえて「持続可能な観光地域づくり」「地方を中心としたインバウンド誘客」「国内交流拡大」の3分野について強力に推進していくことで2030年の目標として掲げる訪日旅行者数6000万人、消費額15兆円という目標達成に向け、全力で取り組んでいくとした。

 

 オーバーツーリズム対策「地域の実情に応じ支援」
 観光産業の高付加価値化を可能とする好循環実現

 

 中野大臣は「観光は、人口減少が進むわが国にとって成長戦略の柱、地域活性化の切り札」である改めて位置付けた上で、持続可能な観光地域づくりに関しては「オーバーツーリズムの懸念も生じている中で、観光客の受け入れと住民の生活の質確保の両立が図られるよう、地域の実情に応じた取り組みをしっかりと支援していく」とした。
 観光産業においては、観光需要の回復に伴い人手不足が深刻化していることから、外国人材の活用も含めた採用活動支援や、業務の効率化・省力化に資する設備投資への支援など「総合的な対策を実施し、人手不足解消に向けてしっかりと取り組んでいく」考えを示した。
 さらに、宿泊施設等の改修支援や観光DXの推進などを通じて、観光産業の収益力を強化し、従業員の待遇改善等を図ることで「観光産業の高付加価値化を可能とする好循環を生み出していく」と述べた。

 

 訪日客の三大都市圏集中回避へ観光素材磨き上げ
 若者のアウトバウンド促進で双方向交流活性化

 

 地方を中心としたインバウンド誘客に関しては「三大都市圏にインバウンド宿泊全体の約7割が集中するなど、コロナ前と比べても都市部を中心とした一部地域への偏在傾向が見られる」と現状認識を示した上で「今後、地方部への誘客をより一層強力に推進するため、地域の多様な観光資源を活かした体験コンテンツの磨き上げに取り組んでいく」と強調した。
 具体的には「全国14のモデル観光地における高付加価値なインバウンド観光地づくりの取り組みを集中的に支援し、その成果やノウハウを他の地域にも伝播させ、観光を通じた地域活性化を促進していく」考えを示した。
 また、今年開催される大阪・関西万博開催を契機としたインバウンドの全国への誘客促進に向け、情報発信等に取り組んでいくとした。
 アウトバウンド促進に関しては「若者の交流促進に資する取り組みに力を入れ双方向交流拡大に取り組んでいく」考えを示した。
 国内交流拡大に関しては、テレワークを活用したワーケーションの推進や反復継続した来訪の促進やユニバーサルツーリズムといった国内における新たな交流市場開拓などといった取り組みを「さらに進化させて取り組むとともに、地域の観光資源を一層魅力的なものに磨き上げていく」と述べた。
 このほか、IR(統合型リゾート)の整備に関しては「IRは多くの観光客を呼び込む滞在型観光の拠点であり、観光立国の実現に向けた重要な施策だ」とした上で「2023年4月に認定を行った大阪の区域整備計画について、実施状況評価を行うとともに、依存症対策などの弊害防止対策に万全を期し、2030年の開業に向けて対応を進めていく」とした。

 

 航空ネットワーク強化やクルーズ寄港促進に注力
 観光の足確保含め「交通空白」解消強力に推進

 

 航空ネットワークの維持・確保に関しては「国内・国際ともに旅客数は回復傾向にあるものの、燃料費や整備費などのコスト増により、特に国内路線の収支が厳しい状況におかれている」と現状認識を示した上で「航空機燃料税の軽減措置等を行うことにより、地方創生や観光立国の実現に不可欠である航空ネットネットワークの維持・活性化に取り組んでいく」とした。また、グランドハンドリングや保安検査をはじめとする空港業務の処遇改善や人材確保・育成等を支援するなど「急速なインバウンド需要増に対応するための受け入れ環境整備を推進していく」と述べた。
 このほか、国交省が所管する事業と観光が連動した取り組みとして中野大臣はクルーズの受け入れ環境整備や寄港促進に向けた取り組みについて引き続き強化していくことや「道の駅」の観光拠点化の推進、自転車を活用したツーリズムの推進や自転車通行空間の計画的整備に積極的に進めていく考えを示した。
 また「交通空白」の対応については「わが国のあらゆる地域において待ったなしの課題である」と強調した上で、全国各地でタクシー、乗合タクシー、公共ライドシェアや日本版ライドシェアなどを推進していくことで「地域の足」「観光の足」の確保を強力に進めていくとした。
 そのためにこのほど設置した「『交通空白』解消・官民連携プラットフォーム」を通じて持続可能性のある取組を全国で推進していくとともに、2025~27年度の3カ年を「交通空白解消集中対策期間」として強力に推進していくことを紹介した上で「『交通空白』解消の取り組みは、まさにスタートラインに立った段階だ。今年もこの課題の解消をさらに強力に進めていく」と強調した。

 

※写真=交通運輸関連業界各紙とのインタビューに応じる中野洋昌国土交通大臣