WING
航空幕僚長 内倉浩昭空将
「雲外蒼天」「万里一空」を胸に
航空新聞社の皆さま、並びにWINGをご愛読の皆様、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。旧年中は、航空自衛隊に対し格別のご高配を賜り、誠にありがとうございました。
昨年を振り返りますと、元日に能登半島地震が発生し、苛酷な試練に直面しました。改めて犠牲者の方々のご冥福をお祈りしますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。輪島分屯基地は、自らも被災した中、自治体等と連携し避難住民の一時受入れや人命救助等の「命を救う活動」を行い、その後も給水・給食支援、巡回診療等の「命を繋ぐ活動」に献身的に従事しました。
我が国周辺では中国軍機による初の領空侵犯をはじめ、ロシア軍機による領空侵犯や中露共同飛行等、航空活動が益々拡大・活発化する中、北朝鮮も断続的に各種弾道ミサイルを発射しましたが、部隊は冷静かつ毅然と対処しました。また、中東情勢の悪化に伴いイスラエル、レバノン共和国から邦人等の輸送を実施するため、継続的・断続的に待機しています。
そのような中、航空自衛隊は創設70周年を迎え、秋には空軍参謀長等招へい行事を開催し、内外に対してこの節目を周知するとともに、同盟国及び同志国との間で信頼関係を強化できました。また、欧州各国の空軍を各基地に迎え、「欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分」との共通認識の下、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に寄与できるよう共同訓練に臨みました。
本年は、F-35Bの部隊配備等、防衛力の抜本的強化を進めてまいります。また新設される統合作戦司令部の下、任務を完遂できる部隊育成に取り組んでまいります。併せて、防衛協力や共同訓練を通じて同盟国や同志国との連携の強化に努めてまいります。
本年も航空自衛隊は、「雲外蒼天」と「万里一空」という空に纏わる2つの言葉を胸に刻み、心を1つに安全保障の諸課題に向き合ってまいります。
結びに、本年が、皆様にとって、さらに夢と希望に満ちあふれ、幸多き年となることをお祈りしております。
※写真=内倉浩昭空幕長