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GX2040ビジョン案、次期単通路機で最終組立含む量産体制を
OEM大幅な生産拡大は好機、アジア地域の最終組立工場狙う
政府は経済成長と脱炭素の両立するGX(グリーン・トランスフォーメーション)の実現に向けて、2040年に向けた国家戦略となる「GX2040ビジョン」(案)をこのほどまとめた。このなかで航空機産業について、国際共同開発による次期単通路機プロジェクトに上流工程から参画し、最終組立工程を含む量産体制を構築することを目指すことなどを盛り込んだ。
欧米の大手機体OEMによる国際的な旅客機開発・製造プログラムでは、日本の航空機産業は機体構造の一部の開発・製造を担っている。ボーイングの787プログラムで機体構造の35%(主翼、中央翼、前胴など)の製造を担うも、「最終組立」を担ったことはない。さらに、単通路機に至っては国際共同開発に参画したことすらない。
ただ、昨年3月末に経済産業省が改訂した「航空機産業戦略」において日本の航空機産業戦略の方向性を示したなかでも、完成機事業を創出するためのインテグレーション能力の向上に向けて、機体の最終組立に係る実施能力を獲得することが有用と指摘された。将来的に海外OEMにおいてボリュームゾーンである単通路機の生産を大幅に拡大するには、アジア地域における最終組立工場の設立が現実的な選択肢となり得るとの見解を示しており、その立地国として日本がその立場を担うことを積極的に追求していくべきことなどが提言されていた。今回あらためて「GX2040ビジョン」(案)に次期短通路機プロジェクトで「最終組立工程を含む量産体制を構築する」という野心的な目標を国内外に示したかたちだ。
※この記事の概要
・最終組立工場担うには高い壁も
・GX2040ビジョン、GX投資予見可能性向上へ
GXは日本経済の停滞打破に絶好機
・環境新技術搭載した機体開発主導
インテグレーション能力獲得、MRO拠点の集約・増強 など