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GCAPの計画実現にGIGO・JV間の契約1本化重要
3ヵ国間手続きの集約化がマイルストーンに
中谷元防衛大臣は去る1月15日の日英防衛相会談後の会見で、次期戦闘機プログラムのGCAPを計画通り進めるべく、昨年末に立ち上げた政府間組織のGIGOと、同じく昨年末に企業間で設立合意がなされたジョイント・ベンチャー(JV)との2者間で「契約に一本化することが何よりも重要」だと説明した。それによって現在取り組んでいるGCAPの設計作業をより加速させることができるとした。
GCAPは、2035年までに次期戦闘機の配備を予定するというもの。順風満帆に開発・生産が進んでようやく実現可能と思われるタイトなスケジュールだといえる。現在GCAPの開発は、BAE社のウォートン工場が中心となって行われており、中谷大臣は同工場で日・英・伊のエンジニアが共同で設計作業を進めている現場を視察して、開発の進捗を確認した。
※図=GCAPの次期戦闘機イメージ(提供:BAE)
視察には航空機で向かう予定だったがキャンセルとなったため、列車で約2時間移動することになったが、その間にBAEのチャールズ・ウッドバーン最高経営責任者と「忌憚のない意見交換を行った」とのこと。そこでGCAPの設計作業を加速させるべく、各国間で行っている各契約を本年中にGIGOとJV間に一本化することが重要だとして意見が一致したという。
またジョン・ヒーリー国防大臣との会談では、密に連携すべく大臣間で定期的に進捗を確認してきたことを改めて確認した。同会談でも、今年中にGIGO・JV間の統合契約締結に向けて、今後の方向性などを議論したとして、開発作業全体の効率化を図ることになり「2035年の初号機配備を実現する上で、極めて重要なマイルストーンとなるもの」だと強調した。引き続き3ヵ国の官民があらゆるレベルで緊密に連携し、GCAPを「力強く推進していきたい」とした。
また中谷大臣は、ウォートン工場の地域は18世紀の産業革命の中心地であり、GCAPについては「まさに21世紀の産業革命に匹敵するような、変革を実現できる」プロジェクトだと期待感を示した。さらに日・英・伊のエンジニアとも直接意見交換を行ったとし、誰もが「極めて士気が高く、熱意に溢れて、高く意識を持って職務に当たっている」ことを説明した。そのほか、一部報道などで聞かれるGCAPへのサウジアラビア参画の検討については、現時点で「サウジアラビア、またそれ以外の第三国の参加については申し上げる段階にはない」とした。
見えてきた英空母とのF-35B訓練
空自戦闘機の英国訪問検討へ
中谷大臣はヒーリー大臣との会談で、今年イギリスが計画する空母打撃群のインド太平洋地域への派遣および日本寄港について言及し、計画について歓迎の意を示すと、共同訓練の進展や英国への空自戦闘機派遣の検討について明かした。
イギリス空母「プリンス・オブ・ウェールズ」の派遣については、日本をはじめとした関係各国との共同訓練を追求しているところ。中谷大臣は空母打撃群との共同訓練の先に「航空自衛隊に導入されたF-35Bも参加するような共同訓練も考えられる」と述べて、さらなる防衛協力の深化を期待している考えを示した。
また、イギリスではインド太平洋地域へのアセットの派遣を積極的に行っており、将来的に日本側から「航空自衛隊の戦闘機の派遣を検討している」考えを示した。