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DMOは「原則発信禁止」? アトキンソン氏主張
政府の観光戦略会議、新設のDMO予算に影響も
政府は1月21日、観光戦略実行推進会議を開催し、2020年の訪日外客4000万人目標達成に向けた対策などについて議論したが、有識者として参加したデービッド・アトキンソン氏は、DMOのあり方について、理事会の過半数は地元関係者で構成し、かつ事業内容は着地整備と顧客満足度向上などに特化し、「発信は原則禁止」にすべきと提言した。DMOは自ら発信せず、日本政府観光局(JNTO)へのコンテンツ提供のみにすべきと主張している。DMOは、地域がその特色を活かし、自立的な観光地経営を行うことを企図した組織であり、その自主性や自立的経営に反する中央集権的な意見として反発が出そうだ。
それによると、アトキンソン氏の主張では、単独DMO(地域DMO)については、理事会の過半数は国立公園、文化財所有者、宿泊施設、アクティビティ事業者などの地元関係者で構成すべきとしている。
また、広域DMO(地域連携DMO、広域連携DMO)については、理事会の過半数は単独DMOの地元関係者で構成すべきとした。
その上で、主な事業内容については、単独DMOは各省庁の観光予算の調整、着地整備、顧客満足度の向上にすべきとし、発信は原則禁止し、JNTOへのコンテンツ提供のみ(全体事業の約3割まで)にすべきとした。
また、広域DMOの事業については、地域間の観光整備の調整や、顧客満足度の向上、JNTOと発信戦略の調整を行うこととし、こちらも原則発信禁止、コンテンツ提供のみとして、全体事業の半分までにとどめるべきとした。
周知の通り、1月7日から徴収が開始された「国際観光旅客税」では、2019年度の税収500億円のうち、観光庁充当分の233億5000万円を除き、最大となる100億円が文化庁に計上されるなど、文化財をはじめとする観光資源の磨き上げには多額の予算が計上されることが決まっている。また、新税を活用し、観光庁は2019年度から「地域の観光戦略推進の核となるDMOの改革」に新規で22億9600万円を計上する。
この約23億円の新規予算をどういったDMOにどのように配分するのかについては、今まさに検討中の段階。そのため観光庁は「世界水準のDMOのあり方に関する検討会」を立ち上げ、今年度内にとりまとめを行うこととしている。
アトキンソン氏は同検討会でも委員を務めており、現在のDMOは発信に偏っており、観光地の磨き上げなどの着地整備に力点を置くべきとの主張をしてきたという。世界水準のDMOのあり方に関する検討会も佳境を迎えており、政府の観光戦略実行推進会議の場で改めて自身の主張を行ったものと見られる。
※画像=アトキンソン委員が観光戦略実行推進会議に提出したDMOのあり方に関する資料
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デジタルマーケ専門家配置や語学指導強化など