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温和条件下でエポキシ樹脂を加水分解可能な固体触媒
180℃、常圧水素下でエポキシ樹脂の加水素分解進行
東京大学大学院工学系研究科、東京都立大学大学院都市環境科学研究科の共同研究グループが、温和な条件下でエポキシ樹脂の加水素分解を可能にする固体触媒を開発することに成功した。この触媒を用いることで、繊維強化プラスチックを繊維と樹脂モノマー、さらに例えばビスフェノールA(BPA)に分解することにも成功したことを明らかにした。将来的には廃エポキシ樹脂複合材の分解とリサイクルに応用することが期待できそうだ。
軽量・高剛性な炭素繊維複合材(CFRP)は、航空機や自動車、スポーツなど、さまざまな分野で利活用が進んでいる。利便性に優れた素材だが、一方でリサイクルしにくいという課題もあって、埋め立て廃棄されてしまっていることが現状だ。
そうしたなか航空業界としては、今後787型機A350といった構造部材のほとんどにCFRPを適用した機材の退役が進んでいくことは確かで、その際、構造部材に使用されたCFRPのリサイクルが大きな課題となる。そうしたなか研究機関や素材メーカーなど、さまざまな関係者がリサイクル技術の確立に向けて、日夜、研究開発を進めている。