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千葉経済同友会、航空宇宙産業集積やロケット射場など提言
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SAF地産地消など空港活かした施策、2050年の将来像
千葉県経済同友会は「千葉県の2050年の将来像」と題してまとめた提言をまとめ、千葉県の熊谷俊人県知事に提出した。提言では千葉県が目指すべき将来像を「アイディアの花が咲きほこり 人・企業を惹きつける千葉へ」に設定。このなかで成田周辺のグローバル・エアポート・シティ化を掲げたほか、成田空港周辺・印旛地域を医療、農業、拠点性を活かした航空宇宙関連などの産業集積を図っていくことなどを盛り込んだほか、SAF(持続可能な航空燃料)の地産地消、ロケットの洋上発射拠点整備を検討することなども提言した。
県内人口は既に減少に転ず、30年で1割減
空港抱える成田・印旛も20年の83%水準に
首都・東京の恩恵を受ける千葉県。将来像の鍵を握る大きな要素は、やはり人口だ。ただ、少子高齢化の社会構造にあるなか、首都・東京に隣接した千葉県といえども、その人口は2020年の628万人をピークに既に減少へと転じている。2050年の将来人口は560万人と、今後30年で約1割減少する予測(公益財団法人ひまわりベンチャー育成基金「千葉県の人口動態分析と将来人口推計より)だ。なかでも、生産年齢人口(15~64歳)も381万人から308万人と、およそ2割減少(約73万人減)するとされる。その一方、高齢化率は28%から36%へと大きく上昇する見通しだ。
千葉県経済同友会が行った提言では、千葉県を5つの地域に分けており、都内就業者が多く地方から東京圏への転入の影響を受ける東京湾岸地域の人口は2020年比で96%、常磐・つくばエクスプレス沿線地域も98%と、人口は減少するものの、それでも高水準をキープする予測だ。さらに成田空港周辺・印旛地域では、空港関連産業が地域を牽引することから、2020年比83%の水準となる見通しにあるとした。
またアクアライン・圏央道沿線地域では、人口が流入する木更津市や袖ケ浦市などとそれ以外のエリアとの差を拡大。地域全体としては2020年比77%の水準となる見通しにあるという。
ちなみにもっとも人口減少が厳しくなると予測されているのが、銚子・九十九里・南房総地域だ。2050 年の推計人口は2020年比58%の水準となり、高齢化率が51.6%と住民の2人に1人が高齢者になると予想。つまり人口はおよそ6割にまで減少し、高齢化率も深刻な割合となりそうだ。
提言のなかでは、2050年のキーワードとして、「人生100年時代」「人と技術の共生」「やすらぎ(心・自然)」「フィールドの広がり」「気候変動・食料自給」という5つのキーワードを抽出。具体的な提言を行うべく、このキーワードを踏まえ、「人生100年時代を楽しめるまちをつくる」「技術革新と構造転換で産業の未来を切り開く」「千葉の強みを活かしたGXモデルを実現する」「持続可能で活力を生む交通インフラを構築する」といった目指すべき姿を整理した。
※この記事の概要
・スカイライナーの地下鉄直結を
・SAF地産地消など千葉モデルでGX推進
・ロケット洋上発射拠点整備検討
外房の交通需要や新たな観光資源に など