ウイングトラベル
星野リゾート、海外へグローバル展開加速
タヒチ、バリ島に続き2件のプロジェクト始動
星野リゾートの星野佳路代表は4月11日の会見で、「国内外でオーナーや都市に声をかけてもらい、国内1件、海外2件のプロジェクトに入ろうとしている」と述べ、海外で新たに2つのリゾート施設の運営に参画する方針を明らかにした。詳細は今秋発表するが、都市ではなくリゾートへの出店となる。同社は現在、タヒチ・ランギロア島の「星野リゾート Kia Oraランギロア」、インドネシア・バリ島の「星のやバリ」の2施設を運営しているが、2つの新規プロジェクトが加われば海外運営施設は4カ所に拡大する見通しだ。
星野リゾートは現在、国内外で36施設(国内34施設、海外2施設)を運営。運営に特化した手法が奏功し、2013年には星野リゾートリート法人も立ち上げ、運営施設数を年々拡大させている。運営施設の形態も、日本発のラグジュアリーリゾートの「星のや」、西洋型リゾートの「リゾナーレ」、温泉旅館ブランドの「界」に加えて、今春からは新たに観光客に特化した都市観光ホテル「OMO」ブランドを立ち上げ、増加する都市型観光需要に本格的に切り込むなど、積極的な攻めの経営を行っており、国内事業は成長軌道に乗っていると言える。
そうした中、星野リゾートにおける海外展開の位置付けについて、星野代表は、「星のやについては、海外に行くことがすごく大事だと思っている。5年後、10年後、20年度には、星野リゾートはグローバルになりたい。円だけでなく、ユーロやドルやその他の通貨でも稼げるような企業になっていきたい」と述べ、グローバル企業としての成長をめざす方針を表明。「そのためには、今国内が好調な時に、少し大変でも、海外に勇気を持って出ていくことを積極的にやりたい」として、海外展開を積極化する姿勢を示した。
タヒチとバリ島の経験から、海外での施設運営における課題も見つかっているとして、「星野リゾートの国内での仕組みが海外ではそのまま通用しない部分がある。海外運営における星野リゾートのアジャストの仕方、変化のあり方を検討するチームも作り、一生懸命取り組んでいる」とも述べ、海外展開の戦略チームを立ち上げたことも明かした。
星野リゾートは、2016年7月にオープンした「星のや東京」で、初めて国内の都市へ進出、新たな都市型旅館のモデルを打ち立てた。これを一つのモデルケースに、世界の都市へ進出したい考えを示していたが、「都市に出たいと思い、一生懸命活動しているが、まだ都市では具体的な案件は出てきていない。都市の方が難しい部分がある」として、現在進行中の2件の海外プロジェクトは、都市ではなくリゾートでの計画だとした。
星野代表は、「『星のや東京』は、都市でも機能する日本旅館のあり方を作り込んできており、投資家の反応はすごく良い」と手応えを示した上で、「最終的には、世界の都市に出て行けるようなところに何とか辿り着きたい」と、将来への展望を語った。
※写真=会見に登壇する星野リゾートの星野佳路代表