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2025.02.14

WING

名工大、界面結合利用した接着剤不要の強接着技術開発

 1平方センチで13kg超保持、VOC問題も根本解決

 

 名古屋工業大学生命・応用化学類の林幹大助教らの研究グループが、樹脂材料の新たな接着技術を開発することに成功した。この技術は結合交換性樹脂に関する知見を活かしたもので、樹脂間の界面で作用する「結合交換」を利用した「接着剤不使用」の強接着技術とのこと。1平方センチメートルの接着面積で、およそ13kg以上の重りを保持することができるという。
 また、従来の溶剤型接着剤の多くは揮発性有機化合物(VOC(Volatile Organic Compounds)を含んでいる。そのため健康被害や環境被害の観点で問題視されているが、研究グループが開発した技術では、そもそも接着剤を利用しない接着技術であることから、VOC問題を根本的に解決することができるとした。
 研究グループがこれまで蓄積してきた結合交換とは、樹脂を構成する高分子鎖の結合が外部刺激によって組み換わるというもの。今回、研究グループは異なる樹脂間の「接触界面」によって結合交換を作用させることで、航空機などでも活用が進む熱可塑性樹脂と、高分子の分子間に橋を架けたような結合をつくる架橋ゴムのような異なる性質の樹脂でも、接着剤無しに強接着を発現することに成功した。

 

 界面で起こる無数の結合交換に着目
 強接着発現する界面またぐ結合

 

 林助教らの研究グループは、架橋樹脂中に結合交換機構を導入することで、リサイクル性や修復性を付与したサスティナブル架橋樹脂に関する基礎・応用研究に取り組んできた。これまでの研究では架橋樹脂全体に結合交換機能を付与していた。

 

※画像=界面での結合交換を利用した樹脂-樹脂接着の概念図(提供:名古屋工業大学)

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