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2019.01.25

WING

複数ドロ-ンが自律的にニアミス回避に成功

NICTが開発成功、ドローン間直接通信で自律回避

 情報通信研究機構(NICT)は、小型無人航空機(ドローン)を含む複数の飛翔体が、互いに自律的にニアミスを回避するための行動を起こすことに成功したことを明かした。NICTによれば、この技術は位置情報を共有する「ドローンマッパー」を活用して飛行制御を行ったもので、合計3機までの機体が、自律的に回避することに成功したという。
 NICTは今回の開発によって、ドローン間の直接通信が、目視外飛行環境におけるドローンの飛行制御と安全運用に寄与できる見通しが得られたと自信をのぞかせている。
 NICTでは「今回の実験は安全確認のため毎秒1メートルというゆっくりとした飛行速度で実施したが、次のステップとして、飛行速度を更に増した状況での性能検証を行うとともに、他の機関との連携も視野に、同時飛行台数の増加や様々な飛行シナリオにおける評価についても動作検証する予定だという。さらに、ドローン同士だけではなく、ドローンと有人ヘリコプターなどとの接近検知及び飛行制御を行い、その性能を明らかにしていきたいとしている。
 ドローンを目視外で飛行する場合、従来ならばドローンと操縦者との間の通信を行いつつ、あらかじめプログラムした飛行経路や飛行方法に従って、自動で飛行する飛行制御を行っていた。しかし、この方法では、他のドローンや有人航空機等の接近への対応が困難などの課題があった。
 そうしたなかNICTでは、位置情報共有システム「ドローンマッパー」と、ドローンのフライトコンピュータを初めて連携することで、操縦者を介さずに、ドローン同士が互いに直接共有する位置情報から周辺のドローンの位置を把握し、ドローン自体が自動でニアミス回避や群飛行などといった飛行制御をすることができるようにした。
 実験では、動作を検証するための試験を実施し、最大3機のドローンがそれぞれの目的地に向かう際、自動で接近を検知してニアミスを回避した後、予定の飛行経路に戻り、最終目的地まで到達することを確認した。
 なお、この技術は内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)タフ・ロボティクス・チャレンジ(プログラム・マネージャー:田所諭氏)の一環。

 

ドローン普及でヒヤリ事案増加傾向に

 

NICTが開発したニアミス自律回避システムとは?

 

※画像=自律的にニアミスを回避するシステム(提供:NICT)

※写真=実験の様子(提供:NICT)