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2025.03.06

ウイングトラベル

【潮流】持続可能な観光の新たな進化

 世界的に持続可能な観光への関心が高まる中、従来の「環境」重視の枠組みを超え、より包括的な「再生型観光」へと進化している。調査によると、世界の旅行者の75%が「サステナブルな旅行をしたい」と回答する一方、日本の旅行者は53%にとどまり、国際的な意識の差が明らかになっている。
 この背景には、コロナ禍とその後の観光の回復過程で浮き彫りになった課題がある。急激な訪日外国人の増加によるオーバーツーリズムの問題は、富士河口湖町の事例のように地域社会との軋轢を生み出している。持続可能な観光とは、単に環境保全だけでなく、地域住民と旅行者双方の満足度向上の両立を目指すものである。
 先進事例としてハワイでは、「サステナブル・ツーリズム」から「レスポンシブル・ツーリズム」を経て、さらに「リジェネラティブ・ツーリズム(再生型観光)」へと発展させている。各島の地域住民が主体となって観光施策を策定するDMAP(デスティネーション・マネジメント・アクション・プラン)を実施し、環境保護と地域社会の活性化の両立を目指している。