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川崎重工、エンジンMROは2026年度後半に整備1号出荷計画

業績V字回復達成、強固な経営基盤で「少々の事で揺らがず」
川崎重工業航空宇宙システムカンパニー航空エンジンディビジョンは昨年11月、民間航空エンジン整備事業に本格参入することを表明した。およそ70億円を投じて、いよいよ民間航空エンジンのMRO事業に進出する。2031年度には、年間50台以上のエンジン整備を手掛けることが可能な能力を獲得する計画だ。
航空エンジンディビジョンを牽引する三島悦朗ディビジョン長(執行役員)が本紙の取材に応じて、「現状、整備に必要な治工具、スペースの整備を進めている。できるだけ早く立ち上げるという目標の下、2026年度には整備1号機を出荷するべく、準備作業を進めている」ことを明らかにした。
また三島ディビジョン長は2023年度にPW1100G-JMエンジンの運行上の問題でかなり大きなAOGペナルティが発生したことに触れ、「エンジン事業としては大きな損失を出してしまったことが前年度(2023年度)の状況だった」ことを振り返り、「今年度はそこをスタート地点として、その損失を取り返すべく、固定費削減など、各種活動に大きな目標を立てて収益/収支改善プログラムを推進してきた」と話すなど、残りわずかとなった2024年度を振り返った。その上で、「市況も順調に回復してきたこともあって、諸活動は順調に進んでいる。今期はV字回復を実現できそうだ」とコメント。前年度は大きな損失で激震が走ったものの、同ディビジョンが一丸となったさまざまな施策を講じ、市況の回復も追い風となったことで、業績が急回復していることを明かした。
足下で「将来に繋がるような事業基盤をしっかりと構築してきている。少々のことでは足下を掬われないほど、強靭な経営基盤を構築する見通しができた」と胸を張った。
「防衛予算の拡大や既存プログラムの改善に加え、今後の事業拡大に資する自社開発エンジンに関する取り組みを推進しているほか、カーボンニュートラル社会実現に向けた水素エンジンの開発など、2024年度は確かな成果を出すことに成功しており、明るい年になりそうだ」と述べた。
2025年度について三島ディビジョン長は「案件の候補がほぼ揃ってきた。我々が目先で推進していかなければならないことは、民間エンジンのMRO事業、そして防衛事業における開発・生産拡大への対応だ」とコメント。「それらを確実に実行していくのが大きな課題だ。そのなかで、改善活動もエンドレスで継続し、目標を達成することができるよう、フォローアップ活動も含めて着実に歩みを進めていくことが鍵となるだろう」との認識を示した。
※この記事の概要
・MRO事業を2031年度までに200億円事業に
航空エンジンの「稼ぐ」新たな源泉 など