ウイングトラベル
★HIS、新たに子会社2社で雇調金等の不正受給

特別調査委員会の調査報告書を受領
エイチ・アイ・エス(HIS)は同社グループにおける雇用調整助成金(雇調金)等の受給に関して、外部専門家等から構成される特別調査委員会から調査報告書を受領したと発表した。それによると、すでに不正受給が明らかとなっていた子会社のナンバーワントラベル渋谷に加え、クルーズプラネットと欧州エキスプレスの2社でも不正受給を行っていたことがわかった。また、HISを含めたグループ15社においては雇調金等の不適正受給があったと認められたとした。同社は今回の調査結果に基づき返還すべき額を速やかに算定するとともに、調査委員会からの再発防止策の提言に沿って、具体的な再発防止策を策定し、3月末をメドに発表するとした。あわせて、関係者の処分等も行うとしている。
クルーズプラネットと欧州エキスプレスで不正受給
3月末めどに再発防止策と関係者処分発表
特別調査委員会による調査の結果、ナンバーワントラベル渋谷とクルーズプラネットの2社に関しては雇調金等の不正受給があったと認められ、かつ、当該不正受給につき役員による指示(経営者不正)があったとした。
欧州エキスプレスに関しては雇調金等の不正受給があったが経営者不正があったとまでは認められなかったと結論付けた。
また、HIS、ツアーウェーブ、オリオンツアー、ラグーナテンボス、九州産交ランドマーク、九州産交バス、KASSE JAPAN、九州産交ツーリズム、エイチ・アイ・エス沖縄、九州産交リテール、ミキ・ツーリスト、HISホテルホールディングス、産交バスの15社に関しては雇調金等の不適正受給が認められたとした。
このうち、クルーズプラネットに関しては同社の代表取締役社長は2020年6月26日と7月1日に国内宿泊プロジェクトの立ち上げを担当する従業員から、現状の出勤日数では時間が確保できないため、当該プロジェクトを進めるために特別休業日中に活動する予定である旨の報告を受けた際、これを制止したり、特別休業日を出勤日に変更するようプロジェクトの準備を進めるよう回答した。また特別休業中にFAMツアーへの参加を指示しながらも、特別休業日を出勤日に変更することなく雇調金を申請し受給した。
このほかにも実際に特別休業日に業務に従事していたにも関わらず事実と異なる勤怠記録が作成され、この記録に基づいた雇調金申請が行われたとしている。
欧州エキスプレスでは、遅くとも2020年9月以降、特別休業日中の勤務時間を積算して、7.45時間になれば特別休業日を1日出勤日に変更し、それに満たない場合には短時間の業務を出勤としてカウントをしないという独自運用が行われていた。そのため、雇調金の申請時に特別休業日としてカウントされている日であっても、実際には従業員が業務を行っていた場合が含まれていた。
ただし、HISや欧州エキスプレスの役職員がかかる運用をするように指示した形跡は見当たらなかったという。
あわせて、特別調査委員会は再発防止策について、コンプライアンス意識の醸成や労務管理の徹底、公的な助成金の申請における内部統制の見直し、内部通報制度の周知や活用のさらなる促進を徹底するよう提言を行った。
これを踏まえHISでは新たな再発防止策を策定し、関係者の処分とあわせて発表するとしている。