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2025.03.25

ウイングトラベル

★海外旅行完全復活へ、「もっと!海外へ宣言」発出

観光庁、外務省、JATA共同で需要喚起

 

 観光庁、外務省、日本旅行業協会(JATA)の3者はコロナ禍を経て回復が遅れている日本人の海外旅行需要喚起を図るため3月24日に「もっと!海外へ宣言」を共同で発出した。同日から新しいパスポート「2025年旅券」の申請受付が開始されたことや4月の大阪・関西万博で多種多様な海外パビリオンの出展やイベントが行われ海外への関心が高まるタイミングを契機と捉え、海外旅行の機運醸成を図る。
 今後はパスポート取得費用支援や需要喚起につながる旅行商品の提供などといった海外旅行促進キャンペーンの展開を始めとして、若者の国際交流の促進。さらに新パスポートの普及や現地安全情報の提供などについて関係企業・団体らと連携しながら取り組みを進めていく。

 

※写真=アウトバウンド完全復活へ「もっと!海外宣言」を発出した。写真左から日本旅行業協会の髙橋広行会長、観光庁の秡川直也長官、外務省の岩本桂一領事局長、外務省のキャラクター「パスポくん」

 

 旅券申請のきっかけ与え、保有率アップへ
 コロナ禍前の2000万人へいち早く回復を

 

 観光庁ら政府側からアウトバウンド促進に向けた宣言を発出するのは新型コロナウイルスの取り扱いが5類に移行した2023年5月以来のこととなる。
 今回「もっと!海外へ宣言」を発出することとなった経緯について24日に記者会見を行った観光庁の秡川直也長官は「日本人の海外旅行を促進していくことは国際相互理解の増進ということで非常に意味のあることであると考えている。2024年の出国日本人数は5年ぶりに1300万人を超えたが、コロナ禍前と比べるとまだ65%の回復率にとどまっていることから、さらに取り組みを強化することが必要であると考え、新たなパスポートの申請が開始され、大阪・関西万博が開幕するこのタイミングでアウトバウンド促進に関する宣言を発出することとした」と説明した。
 出国日本人者数は2019年に過去最高の2008万人を記録したが、翌年に新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で国際間の移動がストップしたことで需要が消失した。その後、国際間の移動が再開されて以降、徐々に回復し、2024年の出国日本人数は1300万7300人となった。
 しかし、24年の訪日外客数が過去最高の3689万人となる一方で、円安が進んだことや物価が上昇したことなどにより、アウトバウンドに関してはコロナ前の65%の水準にとどまっているのが実情だ。
 加えて、日本人のパスポート保有率がコロナ禍前は約24%だったものが2023年は17.0%に低下。昨年は出国日本人数が前年から約350万人増加したものの、保有率については17.3%と微増にとどまっているのが実情だ。
 パスポートの保有率について秡川観光庁長官は「自分の身の回りにもコロナ禍でパスポートが失効したという声を多く耳にした。海外に行く予定がないのにパスポートを申請するということはほとんどないと思う。そうした中で、保有率を上げるということより、パスポートを必然的に取得する流れを作っていくことが大事であると考えており、海外に出かけてみたいという機運を高めていくことが重要であると思っている」という考えを示した。
 また、会見に同席した外務省の岩本桂一領事局長は「コロナを挟んでパスポートの保有率はだいぶ落ち込んでしまい、コロナの影響はとても大きかった。ただ、これから海外旅行の機運が高まっていけばパスポートを取得してくれる人は当然増えてくる。さらに外務省としても今回の『2025年旅券』の導入を始め、パスポートを取得しやすくする工夫を引き続き行っていきたいと考えている」と述べた。
 今回の宣言を契機に、海外旅行促進キャンペーンの実施を始め、関係者と連携したプロモーションを一段と強化していくことにしている。秡川観光庁長官は「まずはコロナ禍前に戻して、そこからさらに伸ばしていきたいと思っている。まずは2000万人というところに到達できるように頑張っていきたい」と意気込みを示した。