ウイングトラベル
★求職者優位時代に採用上手な企業になるには

JATA経営フォーラムで実践的ノウハウ解説
コロナ禍を経て旅行・観光産業が回復基調にある中で、業界に携わる新たな人材を取り込もうと採用競争がここにきて一層激化している状況だ。そうした中で4月4日までオンラインで配信されている日本旅行業協会の「JATA経営フォーラム2025」では、旅行会社の採用活動における「『2024年の成功事例』&『2025年の傾向と対策』」と題したセミナーが行われた。
セミナーでは旅行業界への就職を取り巻く現状について解説するとともに、採用に成功している旅行会社の共通点と、明日からできる実践的な採用ノウハウについて提案。「今すぐ即戦力が欲しい」「求める人材からの応募がない」「内定を出しても辞退、早期退社される」「効果的な採用のやり方がわからない」という悩みを解消するためのポイントについて指南した。
旅行業界の有効求人倍率は2倍以上
「超売り手市場」の中、企業が選ばれる側に
今回のセミナーには2024年度に旅行会社200社に対して約6,000人の求職者を紹介した経験があるONE.course(ワンコース)執行役員人材事業部統括である大南進一氏を講師に迎えた。
大南氏はまずセミナーを始めるにあたって、旅行業界の転職市場の傾向について「コロナ前と今では求職者の傾向がかなり変化している。まずは転職市場の現状を把握して、それに合った対策を講じないといけない」と述べ、現在の旅行業界の有効求人倍率は平均2倍以上で、超売り手市場であると報告した。
さらに旅行業者が求める人材で最も多い「営業職」はもちろん、「予約・発券」や「仕入れ・手配」といった職種においても人材の取り合いが激化していることを指摘した。
そして採用に失敗・苦戦している会社については「求人原稿を本気で作っていない」「上から目線のスクリーニング条件」「選考のスピードが遅い」の3つの共通点を挙げ、顧客志向を忘れた採用スタンスになっていると採用活動は失敗すると断言した。
また、採用市場の変化についても「コロナ前は求人を出している会社は離職者が多く業績や社風が悪いという印象を持たれていたが、現在は求人を出している企業こそ業績が良く良い企業と思われる傾向がある」と現状を分析。良い人材が欲しければ求人は出し続けるべきであると主張した。
なお、東京都の旅行業求人数だけでも現在1万件以上あることから、旅行会社は1万分の1に選ばれる努力や工夫をすることが求められることを指摘した。
続いて転職者が、入社の決め手にしている点については「仕事内容はもちろんだが、それ以外に勤務地や会社の雰囲気、リモートやフレックスタイムといった制度も重視している。給与や福利厚生よりも会社のリアルな実態を見て、自分の時間を大切にする傾向がある」と報告。もはや求職者にとって面接は選ばれる側ではなく選んでいる側としての意識が芽生えていることを強調した。
※画像=「JATA経営フォーラム2025」人材採用セミナー講演者のワンコース執行役員人材事業部統括大南進一氏