ウイングトラベル
★東京観光財団、共同研究の成果をオンライン報告

デジタルノマドとアクセシブル・ツーリズムについて発表
東京観光財団(TCVB)は3月17日、TCVBオンラインカンファレンスを開催した。同カンファレンスは、TCVBが観光振興を目的に民間事業者らと取り組む共同研究の内容を報告し知見を共有する目的で毎年実施しているもの。今回は2024年度の共同研究テーマであるデジタルノマドとアクセシブル・ツーリズムについて研究成果が発表された。
東京を日本のハブに「デジタルノマド」へ訴求
シティライフに加えネイチャーライフの魅力も併せ持つ東京
セッション1の「デジタルノマド&Tokyo~東京における最新のデータ分析と方策検討~」は、共同研究パートナーであるトラベルボイスの代表取締役社長鶴本浩司氏が担当。デジタルノマドの定義について「場所にとらわれず、旅行をしながら自由な働き方をする国際的なリモートワーカー」と説明したうえで、世界のデジタルノマド人口は約3500万人、関連支出は邦貨換算で約118兆円に達する巨大市場であることを紹介した。またデジタルノマドによる評価では東京がノマドリスト(デジタルノマド向けの情報ポータルサイト)で常に上位に位置し、安全性や人の優しさ、美食が強みだとした。
日本や東京には成長性がある一方で、課題もあるという。共同研究では東京でのノマドライフ経験がある5カ国・5人の外国人を対象にヒアリング調査を実施した。それによると、物価とりわけ宿泊費の高さや、スタートアップ向けの環境の乏しさ、長期滞在の手段の確保の難しさ、コリビングなどノマド向け宿泊施設の不足、ノマド同士のコミュニティや地元コミュニティとの接点の見つけにくさ、ノマドコミュニティのリーダー不在、ノマド向け情報の探しにくさの7点が課題として浮かび上がった。また制度に関しても、日本のデジタルノマド向けビザと、同種のビザを発給している世界50カ国以上の制度を比べると、滞在期間の短さや所得制限に課題があるとした。
調査結果を踏まえて鶴本氏は東京のデジタルノマド戦略は「長期滞在が難しい東京だけを目的地とするのではなく、日本全体を目的地として各地域をホッピングする需要を育て、東京は日本のハブとなって日本各地での滞在・周遊をつなぎ、補完する役割を担うことで存在感を確立すべきである」と述べた。さらに「都内のエリアごとの特性を活かしたターゲット設定と戦略を立て、デジタルノマドへ地域の訴求力を高め、各地へ足を運ぶ動機を作るための施策が必要である」と見解を示した。
※画像=「デジタルノマド&Tokyo」
11月に東京でデフリンピック開催
障害を抱える人たちの旅行の後押しに
セッション2の「アクセシブルな観光都市東京を目指して~先進事例と国内外の取組から~」では、TCVBの山村美穂主査がアクセシブル・ツーリズムの定義について「身体的制限、障害、年齢にかかわらず全ての人にとって利用しやすいことが必要で、障害の対象は身体的、精神的、知的なものだけでなく、視覚や聴覚を含む感覚的な障害を含む」と解説。国連世界観光機関は、これら障害を抱える者は世界人口の約16%(13億人)に達すると伝えている、とした。
日本の状況については亜細亜大学の久保田美穂子准教授が説明。観光庁が進める「ユニバーサルツーリズム政策」は、障害者だけでなく高齢者市場にも注目し、対象を広く捉えているのが特徴だとした。同時に「障害者と高齢者は人口の33.7%を占めるが国内宿泊旅行では19.7%にとどまり、伸びしろが大きい」とも分析した。さらに東京五輪開催を機に東京でアクセシブル・ツーリズム関連施策が拡充されてきたことも踏まえ、今年11月開催のデフリンピックに向けて聴覚障害者への理解と対応促進への期待を語った。
最後に公益財団法人日本交通公社の相澤美穂子上席主任研究員が東京および国内の取組事例を挙げたうえで、事例から学ぶべきポイントを抽出。「当事者目線を知り専門家の意見・助言を聞く」「さまざまな困難やバリアへの想像力を持つ・培う」「同じ障害でさえ、困り事は一人ひとり異なる」「歓迎の気持ちを目に見える形で表すことが重要/困難が理由で旅行をためらう人が『旅行をしてもいいんだ』と背中を押すことにつながる」の4点を挙げた。
※画像=「アクセシブルな観光都市東京を目指して」
東京観光財団(TCVB)は、東京の観光振興に関する各種事業を推進する東京都の政策連携団体。「世界から選ばれ続けるTOKYOへ。」を組織理念に掲げ、様々なパートナーと連携しながら、旅行者やビジネスイベンツを誘致するとともに、地域の観光振興や受入環境を向上するための取組を幅広く展開している。現在、630以上の企業・団体が賛助会員として参画しており、会員同士の交流やネットワークの機会も充実。また、会員限定のセミナーやサービスも数多く展開している。詳細は以下へ問い合わせを。
※東京観光財団、問い合わせ先メールアドレス
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