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★HIS24年10月期決算、5期ぶりの最終黒字87億円

旅行需要回復で売上高は36.1%増の3433億円
エイチ・アイ・エス(HIS)は3月31日、雇用調整助成金(雇調金)の不正受給問題を受けて延期していた2024年10月期(23年11月~24年10月)連結決算を発表した。売上高は前期比36.1%増の3433億3400万円、営業利益は約5.6倍増の108億5400万円、経常利益は約5.3倍増の104億5100万円、当期純損益は26億2800万円の赤字から87億1700万円となり、5期ぶりの最終黒字となった。コロナ禍でしばらく落ち込んでいた主力の旅行事業で売上高が約4割増、営業利益は約7.1倍と大幅な増益となったのを始め、ホテル事業も訪日インバウンド需要に下支えされ、大幅な増収増益となった。なお同社は雇用調整助成金の不正受給等で合計84億2800円を返還または、返還予定として引当を行い、2020年10月期決算から過年度修正を行った。
旅行事業、海外旅行回復で営業利益81億円増
シニア層の受客増、海外法人のインバウンド好調
24年10月期決算の状況をセグメントごとに見ると、主力の旅行事業は売上高が前期比40%増の2839億7200万円、営業利益が約7.1倍増の93億200万円となった。旅行事業の中核となる日本発の海外旅行需要が回復。収益性の高い欧州方面の添乗員付きツアーが好調に推移したほか、シニア層の受客が大きく伸びた。さらに就航便の増加による行きやすさや為替の影響が少ない韓国が安定した伸びを見せた。
国内旅行事業については全国旅行支援効果からの反動はあったものの、取り組みを強化していた沖縄やチャーター便による送客に注力した北海道が好調に推移した。
訪日旅行事業はHISの海外現地法人やB2Bの団体旅行の受客が好調に推移した。中でも北米マーケットからの受客件数が過去最大となるなど取扱高をけん引した。
法人事業では、社員旅行や研修旅行、インセンティブ旅行など企業案件の受注が増加したことに加え、地方創生をプロデュースするさとゆめと提携した「デスティネーション・クリエイト・プロジェクト」を開始するなど、地域の魅力向上に関する事業にも乗り出した。
海外の旅行事業は日本からの海外旅行需要の回復により、インバウンド事業が好調に推移したほか、フィリピン・マニラにある「シェアードサービスセンター」において約20の国と地域の手配業務に関する集約化を実施し生産性を高めたことが利益貢献した。
※写真=2024年10月期決算や今後の事業方針などを説明したHISの矢田素史代表取締役社長