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2025.04.10

ウイングトラベル

★2025年の国際観光支出、過去最高2.1兆ドル予想

 WTTC調査 観光産業11.7兆ドル・GDP10.3%

 

 世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のジュリア・シンプソン会長兼CEOは4月9日、オンラインで会見し、2025年の国際観光客支出が記録的な水準でスタートしており、旅行・観光産業が世界的に成長を続けていることを明らかにした。また、旅行・観光産業が成長を続ける上で、産業全体の85%を占める中小の旅行関係企業が極めて重要であることを改めて強調した。
 WTTCとオックスフォード・エコノミクス共同の2025年経済影響調査(EIR)によると、国際観光客の支出は2025年に史上最高の2.1兆ドルに達する見込みで、2019年の過去最高1.9兆ドルを1640億ドル上回る。
 2025年の旅行・観光業は世界経済に過去最高の11.7兆ドルを貢献し、世界のGDPの10.3%を占めると予想した。世界中でこの分野に支えられる雇用は2025年に1400万人増加し、世界全体で3億7100万人に達する見込みで、これは米国の人口を上回る。
 シンプソン会長兼CEOは「人々は旅行を優先し続けている。これは私たちの業界に対する力強い信頼の表れであり、その永続的な強さの証だ。しかし、旅行・観光業の世界的な状況は堅調であるものの、回復は均一ではない。一部の国や地域では記録的な数字を出している一方で、他の大きな経済圏では横ばい状態になっている」と懸念を表明した。
 これは、米国、中国、ドイツなどの主要な旅行・観光市場の成長が鈍化していることを念頭にしたもので、世界最大の旅行・観光市場の米国では、2024年の国際観光客の支出は2019年の水準を大幅に下回ったままで、今年中の完全回復は期待されていない。中国では、昨年の国際支出はコロナ前の水準を上回ったものの、2025年には成長が大幅に鈍化する見込みだ。
 これらの市場とは対照的に、2030年までに8000億ドルをこの分野に投入する予定のサウジアラビアなど他の主要市場は新たな目標を設定している。訪問者数の点で世界トップ2の目的地のフランスやスペインなどの欧州諸国は、観光への投資と世界的な観光の魅力によって、欧州地域の復活を引き続き牽引している。
 経済的な不確実性が背景にあるものの、WTTCの最新調査によると、世界の旅行・観光業は今年も力強く成長し、主要な世界経済の基盤としての役割を再確認する見通しで、これまで以上の旅行者の支出が予想されている。

 

※写真=オンラインで会見するWTTCのジュリア・シンプソン会長兼CEO