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地対艦誘導弾の国内射場として南鳥島で調整

森下陸幕長、海外依存から国内実施の機会創出
森下泰臣陸上幕僚長は4月11日の会見で、陸上自衛隊が国内で地対艦誘導弾の射撃訓練等が行えるよう、南鳥島で準備を進めていることを明かした。
陸自では、88式地対艦誘導弾と12式地対艦誘導弾を保有しているが、現時点で同ミサイルを射撃可能な射場が国内には存在せず、これまで射撃訓練は海外の射場に依存していた。昨今では安全保障環境の厳しさが一層増しており、射撃練習の機会を安定的に確保するためにも、国内で射撃訓練が可能となるよう南鳥島で調整しているという。
森下陸幕長は、国内で発射可能な基盤を保持することで「より多くの部隊の訓練機会を確保することができる。そして、地対艦ミサイル部隊の練度の維持向上につながる」ことになるとして、南鳥島の整備に力を入れていく考えを示した。
北部方面隊、国内で地対艦誘導弾発射訓練
日・米・豪で指揮所訓練から実動訓練へ
陸自は当日、今年度実施予定の主要訓練・演習について発表した。注目されるのは、6月に北部方面隊が国内で行う地対艦誘導弾の射撃訓練だ。新たに国内での年次射撃訓練として行うことになっており、北部方面隊の作戦遂行能力の向上を図る。これまで国内で射撃訓練を行うことは、地元の制約などで難しい状況だったが、訓練の実施に向けて調整を進めているという。訓練では88式地対艦誘導弾を使用するとして、森下陸幕長は「地元へ丁寧に説明を行いつつ、さらに継続的に適切に情報提供しながら理解を得ていきたい」と述べた。また国外訓練については、引き続き来年1月から2月までの期間に米国で行う予定。参加するのは北部方面隊および東北方面隊で、12式地対艦誘導弾の射撃訓練を行う予定としている。
※写真=北部方面隊が今年度、国内で発射訓練を行う88式地対艦誘導弾(提供:陸上自衛隊)