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Trent1000パッケージCで追加検査発生
ロールス・ロイス、「顧客の更なる混乱を招く」
ロールス・ロイスは4月13日(現地時間)、787型機に搭載しているTrent1000エンジンのパッケージCについて、エンジンの検査を追加することを決定した。ロールス・ロイスは今回の決定について、「残念ながらお客様の更なる混乱を招くことになる」との認識を示した。今回追加検査の発生についてロールス・ロイスは、「Trent1000パッケージCコンプレッサーの耐久性をさらに深く理解したことによってもたらされた」としているが、追加検査の発生に伴って、パッケージCを導入するエアラインは、その機体運用に更なる支障が出て来る可能性もありそうだ。
こうしたなか787型機の開発メーカーであるボーイングは声明で、「787型機の約25%がロールス・ロイス製エンジンを搭載している」ことに言及。「特定の飛行サイクルで中圧圧縮機ブレードの点検が必要。耐久性の問題が発見された場合には、ブレードが交換することが必要」としている。その上で、「これは既知の問題であり、我々はロールス・ロイス、顧客および規制当局と引き続き完全に解決することに努めていく」とし、「ボーイングは、サービスの混乱を軽減するためにサポートチームを展開している」ことを強調した。
ロールス・ロイスが開発したTrent1000パッケージCについては、去る2016年8月25日、全日空(ANA)の787型機において、離陸直後に中圧タービンのタービンブレードが破断。ANAによれば、表面コーティングの不具合により、大気中の化学成分に起因する硫化腐食が中圧タービンブレード表面に発生し、この表面の腐食を起点に疲労亀裂が生じて、飛行サイクルを重ねると共に亀裂が進行する事態が発生し、運航計画にも影響が発生した。そうしたなかANAはメーカー指定よりも早期にエンジン交換サイクルを早めることに踏み切るなどの対策をいち早く講じることで安全性を確保。一方でロールス・ロイスは抜本的対策を打ち出すことなどに追われている経緯がある。
※画像=Trent1000パッケージCは追加検査が必要に。パッケージCを運用するキャリアの運用に影響が及びそうだ