「ポーランドの古都」クラクフとその周辺の魅力
ポーランドの南に位置し、「ポーランドの古都」として人気を集めるクラクフは、ユネスコが世界遺産登録制度を開始した1978年に最初に登録された世界遺産のひとつ。ポーランドではもうひとつ、クラクフ近郊にあるヴィエリチカ岩塩坑も登録された。一年中楽しめるクラクフと、ヴィエリチカ岩塩坑をはじめとする周辺の魅力について触れてみたい。
クラクフ歴史地区 (地図①) 世界遺産
見どころがコンパクトにまとまっている
世界遺産に指定されているクラクフ歴史地区は、北の鉄道駅から南のヴァヴェル城まで歩いての移動が可能。見どころがコンパクトにまとまっていて、徒歩だけで観光できる。
歴史地区の中心にあるのが中央広場「リネク・グウヴヌィ」。一辺200メートルもの巨大な広場には常に人々が行き交い、あちこちに小粋なカフェや鮮やかな花々があふれる屋台、土産物屋などが並ぶ。
また南端に位置する歴代ポーランド国王の居城ヴァヴェル城は、16世紀初めにルネサンス様式で築城。ポーランド王国時代、クラクフは中東欧における政治・経済・文化の中心として栄えた。
冬ならではのクリスマスマーケット
いつ行っても楽しいクラクフには、冬ならではの楽しみ方がある。クリスマスマーケットの会場となる中央広場はぜひ訪れたい。ポーランド南部のソウルフードに、クローブ香るホットワインやホットビールを味わいながら、ハンドメイドのクリスマスグッズが軒先を飾る屋台を見て歩くのも楽しい。
アートの魅力も
ダヴィンチの作品から日本美術まで
クラクフ市内には美術館・博物館が36もあり、ポーランド全国の美術品の1/4を越える200万点以上が収蔵されている。圧巻はチャルトリスキ博物館にあるレオナルド・ダヴィンチ作の「白テンを抱く貴婦人」だ。
また日本美術技術博物館マンガ館は、若き日に日本美術に魅せられたというポーランド映画の巨匠故アンジェイ・ワイダ監督が建築費用を負担して完成した美術館。ジャポニズムの時代にクラクフのコレクターが集めた貴重な日本美術品を所蔵・展示している。
旧ユダヤ人街カジミェシュ地区
哀愁あふれる雰囲気、ユダヤの味も
歴史地区から徒歩わずか20分弱。近年になって往年の雰囲気を残しリノベーションされたホテルや飲食店が点在。どこからともなく哀愁あふれるクレズマーミュージックの音色が聴こえてくる。シナゴーグ(ユダヤ寺院)や伝統的なユダヤ墓地も残る。映画「シンドラーのリスト」のロケ地でもあり、歴史に興味があるなら近くのシンドラー博物館を訪れてみたい。
クラクフから足をのばせば
ヴィエリチカ岩塩坑(地図②) 世界遺産
700年以上にわたる採掘でできた坑道の総延長は約300 km。最深部は327メートルだが、公開されているのは135mまでの部分。見学は20余りの部屋や礼拝堂を巡る約3.5 kmのルート。喘息など呼吸器の疾患の症状を改善するためのケアセンターもあり、外国からの利用申し込みも多い。
おすすめの宿「ホテル・グランド・サル」(4つ星/39室)
目の前には緑あふれる公園が広がり、シックで落ち着いたインテリアの客室でゆったりとした滞在を楽しめる。アメニティーはすべて岩塩を取り入れたものを用意。ここに滞在して呼吸器疾患の療養のために岩塩坑のケアセンターへ通うプログラムもある。
www.grandsal.pl
フォトジェニックな木造教会 世界遺産
世界遺産「南部マウォポルスカの木造教会群」のひとつがデンブノ・ポトハランスキェ(地図③)にあるこの大天使ミカエル教会。15世紀の木造教会で、内部の多彩装飾画が見事。ほか貴重な美術・工芸品が残されている。
タトリ山脈(地図⑤)とザコパネ(地図⑥)
年中楽しめ、独自の文化やグルメも
夏は登山やトレッキング、冬は良質の雪に恵まれるスノーリゾートとして知られる。初心者から上級者までさまざまなトレッキングやスキーコースがあり、レンタルも充実。さらに風光明媚なリゾートであるため、年齢を問わず楽しめる。
ザコパネはタトリ山脈の中心にあり、キュリー夫人も滞在したことがある山岳リゾート。市内にはザコパネ様式といわれる独特な木造りの家屋が並ぶ。釘やレンガを使わずに作り上げる本格的なログハウスだ。ポーランド語でグラルと呼ばれるこの山の地域の人々は、素朴で敬虔なカトリック教徒が多く、放牧業や農業、民芸品の製造を生業としながら家族でペンションを営業している家も多い。
ザコパネの周辺はポトハレ地方と呼ばれ、さまざまなチーズの名産地でもある。特に有名なのは羊の乳で作るチーズ「オスツィペク」。EUで認定された地域限定の名産品であり、グリルして甘い赤スグリのジャムを添えていただくのがザコパネ風だ。
ポーランド政府観光局
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画像提供:ポーランド政府観光局