教育旅行の再開で目立つ中・高校の語学研修【クイーンズランド州①】
現地側の新・学習プログラム開発や支援体制強化も進行
日本からクイーンズランド州への教育旅行を再開する動きが本格化してきた。直行便を運航する航空会社の中には7月・8月だけで学校主催の教育旅行や自治体の派遣事業に関連して50校を運ぶケースもあるほどだ。十数人の語学研修から200人超の修学旅行まで、さまざまな規模や目的の教育旅行の再開を受けて、クイーンズランド州側の新たな学習プログラム作りも活発化し、受け入れ体制は日々進化している。7月からはオーストラリアへの渡航条件だった新型コロナワクチンの接種要件も廃止され、クイーンズランド州を訪れるハードルが下がり、教育旅行がますます活発化する期待が高まっている。
注目の教育旅行デスティネーション①
①ケアンズ
学校支援プロジェクト適用第1号として大阪府立藤井寺高等学校が7月に語学研修旅行を実施
21名が参加し9日間の日程で実施
大阪府立藤井寺高等学校は7月26日出発/8月3日帰国の9日間(現地7泊)の日程でケアンズへ研修旅行を実施した。参加した生徒は19名。2名の先生が同行し、計21名での研修となった。
同校では異文化体験と語学学習を目的に1年生から3年生の希望者を対象に「海外ホームステイ研修」を実施してきたが、今回はコロナ禍により中断していた研修を3年ぶりに再開。再開後初めての目的地としてケアンズを選んだ。
旅行会社が提案した候補目的地の一つだったケアンズを選んだ理由について、今回の研修旅行に同行した英語科教諭で海外交流委員長でもある村川徹弥先生は「ケアンズは渡航時期の気候が日本とあまり変わりがなく自然も豊か。良い環境で研修を実施できると判断した」と説明する。
生徒の成長ぶりに驚きも
現地では日本人が校長を務めるサンパシフィック・カレッジが受け入れ先となり、日本語禁止のルールのもとで3日間みっちり語学研修。滞在先はホームステイで、週末の2日間はホストファミリーと共に、それぞれがクイーンズランド流の生活を体験した。また研修6日目、最後の授業の後に卒業証明書を手渡すセレモニーがあり、午後はキュランダ観光やレインフォレストステーションで動物たちとの触れ合いも楽しんだ。
ケアンズでの研修効果は目覚ましいものがあったようで、村川先生は「生徒たちの変化に驚きました。おとなしい生徒が多かったのですが、積極的に学ぶ姿勢を身に付け、間違ってもいいから自分から英語を話そうという意識も学んだようです」と話す。今後は事後研修を通じて学習効果を測定するほか、文化祭では研修で学んだ事柄やオーストラリアの思い出を発表する予定だ。
学校支援プロジェクトを利用
文化祭での発表の際にも大いに役立つのが現地での研修の様子をプロが撮影した映像だ。というのも今回の藤井寺高校の「海外ホームステイ研修」は、クイーンズランド州政府観光局とケアンズ観光局が用意した「ケアンズ&グレートバリアリーフ学校支援プロジェクト」の適用第1号の教育旅行であり、動画撮影などの特典が提供されたからだ。
学校支援プロジェクトは、クイーンズランド州のケアンズやグレートバリアリーフ地域を目的地とする教育旅行を、初めて実施する学校を対象としたもの。旅行会社経由での申し込みと、2023年12月30日までの渡航が条件となっている。これらの条件を満たした学校を14校、先着順で選び支援プログタムを提供する。
支援プログラムの内容は、滞在中の活動の様子を現地で活躍するプロカメラマンが動画撮影し、後日記念品として提供するほか、実施校へのケアンズ訪問証明書の贈呈や渡航前の観光局によるオリエンテーションの実施、ケアンズ在住留学生による現地でのグループ・オリエンテーリングの実施、留学生向けに設置されているケアンズ市内の「Student Hub」の利用も特典として提供される。
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