Traveler Tribesから見る2033年の旅行者
TravelerTribes
2033年の旅行者を理解し、将来に備える
10年後の2033年の旅行者はどんな旅行スタイルを求め、好むのか。GDSをはじめ、航空会社や空港のシステムなど、旅行業界向けのITソリューションを提供するアマデウスは、2023年2月に「Traveler Tribes 2033」と題した報告書を発表、旅行者を代表的な4つのTribe(共通の興味や関心を持った集団)に分け、各Tribeが今後10年間でどう変化していくのか、その変化にテクノロジーがどう寄与できるかを紹介している。先日、東京観光財団(TCVB)主催のTCVBミーティングの場で、アマデウス・ジャパン マネージング・ディレクターの佐藤洋介氏が概要を紹介、未来の旅行者に対し、テクノロジーが果たす役割について語った。
コロナで旅行のあり方が劇的に変化
非接触、自動化サービスが進化
旅行業界に大きな影響を与えた新型コロナウイルス。コロナによって、旅行のあり方が劇的に変化している。なかでも非接触、自動化サービスが大きく進化。空港では、生体認証による搭乗手続きや、手荷物の自動預入機の導入などが進む。またタクシーでは配車アプリが一般的となり、ホテルにおいては、モバイルチェックイン、さらにモバイルアプリが部屋の鍵として利用できるなど、旅行業界のあらゆる場面において最新のテクノロジーを取り入れた新しいソリューションが次々と誕生している。
4つのTribeに分類
その変化から10年後の旅行者を予測
アマデウスの「Traveler Tribes 2033」では、日本を含む世界15か国の1万人以上の旅行者を調査。そこから43の共通の興味や関心を持つ集団「Tribe」に分類、なかでも顕著な4つの「Tribe」を特定し、それぞれの特徴を紹介している。
この4つのTribeの変化を把握することで、10年後の2033年の旅行者のあり方を予測し、その変化にどう対応できるか、今から準備することができる。報告書では、10年後の変化の中で、テクノロジーがどんな役割を果たしていくのかを提示している。
「思い出づくり型」が多い日本
各国で異なる4つのTribeの割合
一方、この4つのTribeの割合は、国ごとに大きく異なる。こうした国別の傾向も大きな参考になる。
日本は、思い出づくり型が多く、トラベルテック影響型が少ないのが特徴。保守的で、最新のテクノロジーには及び腰という傾向が分かる。ヨーロッパやオーストラリアはさらにその傾向が顕著だ。
アメリカは全体の割合に近く、アジアは日本を除き、開拓探検型やワクワク体験型の割合が多めで、思い出づくり型が少ない傾向にある。経済成長を背景に、どんどん旅行したいという意欲が表れているとも言える。
その中でも特徴的なのがインド。IT大国の影響かトラベルテック影響型の割合が他の国と比べて比較的高い。さらにその割合が上回るのがインドネシア。若い層が多く、各種アプリのユーザー数が世界有数の規模を誇り、トラベルテックの利用に大きな抵抗がない。
10年後、4つのTribeはどう変化するのか
ワクワク体験型、思い出づくり型に変化?
では、この4つのTribeが10年後の2033年にどう変化していくのか。開拓探検型は常に旅行の最前線に立ち、SNSのフォロワーはさらに増加、より大きな影響を与える層になるだろう。
一方、ワクワク体験型は若年層に多いため、10年でライフスタイルに変化が生まれ、多少慎重になることが考えられる。計画は彼らにとって重要となるが、あくまでも最低限のプランにとどめる。
思い出づくり型は、この10年間で変化しない層と、変化する層に二分化。トラベルテック影響型は、引き続き最新のトラベルテックを積極的に取り入れながら、しっかりと旅行の計画を立てる。
向こう10年で時間の経過と共に各Tribeの境界線はやや曖昧になるものの、基本心理は大きく変わらず有効なままであり続けると見る。
10年後にテクノロジーが果たす役割
共通の関心に対応
それでは10年後の変化において、テクノロジーはどんな役割を果たすのだろうか。4つのTribeはそれぞれ志向が異なるものの、共通の関心がある。
例えば、保守的な思い出づくり型でも、こうしたテクノロジーのメリットをしっ
かりと打ち出すことで、受け入れやすい状況を作り出すことが可能。旅行計画の提案は、AIを使って迅速、簡単に提案できることで、新たな旅行のきっかけを生み出してくれるはずだ。またVRで新しい旅を体験してもらうことで、事前に安心して新しい旅にチャレンジできるし、リアルな旅のワクワク感を損ねることなく、ワクワク感をあおることができる。
旅行者にとってより豊かになるテクノロジーはウェルカム。4つのTribeに代表されるように、バラバラな旅行者の個性を受け止めることができる。
アマデウス「Travel Tribes 2033」
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