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2023.06.22

「カナダの、その奥へ―。」各州/準州のおすすめ体験 ①

ケベック州 Quebec

オルレアン島での美食体験 生産者たちのルーツを知る

 

 

 ケベックシティから日帰りが可能なオルレアン島。島はセントローレンス川の中にあり、川に架かる唯一の橋で渡ることができる。のどかで牧歌的な風景が広がり、どこか北海道にも似た雰囲気が感じられる。島には集落が6つあり、それぞれが魅力的だ。
 この島は17世紀初頭にフランスからアメリカ大陸へ渡ってきた人たちが最初に定住したエリアのひとつ。各集落には古くは18世紀頃から残る家々や教会が点在し、入植時代にタイムスリップしたような気分になる。
 またこの島は美食の島としても知られる。農産物の直売所を訪ね、また地元の食材を使ったシードルやジャム、チーズ、ビネガー、チョコレート、クラフトビールなどを味わいながら島の恵みを堪能することができる。メープルシロップを生産する「シュガーシャック」もあるので、シーズンにはぜひ訪れてみたい。
 食の生産者たちの話を聞くと、彼らのルーツを知ることができる。入植から現代にいたるまで、脈々と農業を受け継いできたり、橋がなかった時代に島と本土を結ぶ船の航海士をしていた人たちがその後農地を購入して農業を始めたり、それぞれのストーリーを知れば、より深みのある美食体験となるだろう。

 

 

オンタリオ州 Ontario

アガワ渓谷鉄道で大自然を体験 この地を描いた画家たちの絵画を鑑賞

 

 オンタリオ州は、トロントやナイアガラの滝、首都のオタワだけでなく、その奥には息をのむような美しい森林や湖の風景が広がり、ハイキングや川下り、キャンピングなど、アウトドアにも最適なデスティネーションだ。
 息をのむような北オンタリオの絶景を体験できるアガワ渓谷ツアートレインは、北米で最も人気のある鉄道ツアーで、大自然の中を駆け抜けながら、湖や川、カナダ楯状地、そして花崗岩が織りなす絶景を車窓から満喫できる。
 特に、赤や黄色に色づいた山々の風景を堪能できる紅葉のシーズンは一番の見どころ。高低差約152mを誇るアガワ渓谷を、谷底まで走り抜ける列車の旅は、ローカルの人たちにも人気のアトラクションだ。列車から降りて谷底から渓谷を眺めたり、76m上の展望台から最終氷期に作られた偉大な自然を見渡すことができる。
 また、この辺りの風景はカナダを代表する7名の画家集団「グループ・オブ・セブン」の風景画にもたびたび描かれたことで知られている。スー・セント・マリーに位置する「アルゴマ美術館」では、「グループ・オブ・セブン」をはじめ、350人以上のカナダ人アーティスト、および海外アーティストによる5000点以上の常設展示を鑑賞できる。

プリンス・エドワード島州 Prince Edward Island

「赤毛のアン」を生んだ島 島の人々の生活に触れる旅

 

 日本では「赤毛のアン」の故郷として知られているが、この小説の作者は島出身のモンゴメリ。1908年に出版され、今でも世界中で愛さる古典名作だ。日本では昭和27年に村岡花子訳で出版され、戦中、英米文学に飢えていた日本人の心を掴むベストセラーとなり、親から子へ、そのまた子へと世代を通して読まれている。
 「赤毛のアン」に描かれた場所を訪れ、小説を追体験する―まさに今のアニメや映画の聖地巡礼の元祖と言える。場所だけでなく、美味しそうなスイーツ、イースターやクリスマスのご馳走、農作業の営みや工芸品など、アンが育った当時の伝統文化は、今でもこの島に息づいており、現代の私たちでも追体験することができる。
 島はジャガイモの名産地であり、新鮮なシーフード、チーズやアイスクリームなど、食物の宝庫。農場を訪れたり、いちご狩りをしたり、有名シェフの宿に泊まったり、島の人々の生活に触れることで一歩踏み込んだ豊かな旅をすることができる。
 「この島がなければアンは生まれなかった」とモンゴメリは書いている。アンの知名度で隠れてしまいそうな島本来の姿。物語を入り口に、ぜひその奥へ訪れてみてはいかがだろうか。

 

 

 

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