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2023.06.22

「カナダの、その奥へ―。」 旅行会社の取り組み ②

グローバルユースビューロー Global Youth Bureau

執行役員 企画開発部 部長 小泉 陽子 氏

 

 ヨーロッパ方面をメインに質の高い旅行商品で、シニア層を中心とした顧客から高い評価を得ているグローバルユースビューロー。同社が新たなカナダの旅行商品として発表したのが、特別企画シリーズ「カナダ野生動物王国」だ。100万円を超える高い旅行代金ながらもツアーは満席が続き、企画力を活かした商品造成が功を奏している。

「カナダ野生動物王国」第2弾
「ヒグマとアメリカシロクマ編」パンフレット

 

これまでは定番コース中心 夏のオーロラがブレイク

 

 同社のコロナ前までのカナダ商品は、メープル街道の紅葉やカナディアン・ロッキー、プリンス・エドワード島、オーロラといったいわゆる「定番」コースがほとんどで、「長年同じコースで内容の大きな変更もなく固定化されていた」(小泉氏)とのこと。
 そのなかで、コロナ前の5~6年からコロナ後も引き続き人気を集めているのが「夏のオーロラ」。「気候の厳しい冬とは違い、夏はシニア層にとって身体の負担が少ない点がうまくマッチした」と語る。同社の中でもベストセラーのひとつとして、ブレイクしている。

 

野生動物への関心が高まる 「安心安全」カナダの可能性

 

 一方、「カナダ野生動物王国」シリーズは、既に「ヒグマとアメリカシロクマ編」(2023年9月)と「究極のシロクマ体験編」(2023年11月)の2つを発表、どちらも既に満席となっている。今後は「ベルーガと北極の動物編」(2024年7月予定)、「“森の精霊”スピリットベア編」(2025年秋予定)の発表を予定している。
 同シリーズのきっかけとなったのが、顧客の「野生動物への関心の高まり」だ。ヨーロッパを中心とした商品ラインナップから徐々にエリア、マーケットを拡大していくなか、人気を集めたのが「アフリカのサファリ系商品」だったという。アフリカ、さらに南米へと商品開発が進み、カナダへと至った形だ。
 また、カナダ観光局と州/準州の観光局で構成する「チームカナダ」とのミーティングを通じ、カナダが「大きな可能性があるデスティネーションと感じた」ことも大きい。特にアフターコロナにおいて、カナダが「安心安全」である点を評価。「アフリカでは医療態勢に不安があるなか、カナダは安心できる。これまでの定番ではない旅行としてカナダの野生動物に着目した」という。カナダではアフリカや南米にはいない野生動物が多く、その「オリジナリティの高さ」も商品化の後押しとなった。

 

価格の高さをきちんと説明 「現場に行く」大切さ

 

 「カナダ野生動物王国」は、旅行代金が100万円を超える高額商品となる。小泉氏は「なぜ旅行代金が高いのかきちんと説明する必要があった」と説明する。

パンフレットの中のQ&Aコーナー
現地視察の様子やなぜ旅行代金が高いかを紹介している

 

 例えばヨーロッパの旅行商品では、ホテルなどハード面のグレードが旅行代金に反映されるが、カナダの場合は「旅行代金が高くてもホテルが普通の設備だったりする。行きにくさや希少価値で高くなる」という。
 そのため「お客様がどこまで許容できるか、価格と価値のバランスが重要」と指摘する。そのなかで、これまでの添乗経験を活かし、「お客様がツアーに何を求めているか、価値観を共有できた」ことが大きな強みとなった。
 商品化にあたっては、小泉氏自ら現地へ出向いて体験。「視察前からパンフレットのシミュレーションを重ね、実際に現場へ行くことが大切」と語る。
 ツアーのパンフレットでは、「お客様から問い合わせがある前に、パンフレットに盛り込んだ」とあるように、なぜ旅行代金が高いのか、希少価値が高い点を、紙面を大きく割いてQ&A形式で説明。また、旅行説明会においては、現地視察に同行した動物写真家を招いた報告会を実施。「反応は上々だった」とのことで、結果的に満席となった。
 現地へ訪れるという意味では、トレードショー「RVC」の参加も重要と捉える。「日本にいては情報収集に限りがある。RVCのようなイベントに自ら出向き、自分で素材を見つける。違う視点で見ることで、大きな商品造成のきっかけにつながる」と説明する。

 

夏オーロラ強化へ 違った視点で商品を紹介、欧米を参考

 

 今後は夏のオーロラ商品にも力を入れる。オーロラの「当たり年」のサイクルをこれから迎えるにあたり、「欧米人旅行客目線で人気があるプロダクトなどで、日本マーケットにはまだ知られていないユニークな素材を取り入れたい」と意欲を示す。「カナダ野生動物王国」も今後シリーズ化していく。
 さらに既存の商品においても、「タイトルを変えるなど、切り口を変えることで面白いものにしていきたい」考え。例えば、プリンス・エドワード島は、日本では「赤毛のアン」の島として人気だが、「欧米マーケットでは、赤毛のアンよりも美食の島として人気が高い」ことから違った切り口で見せ方を工夫していく。欧米マーケットの動向を見ながら、小泉氏は「新たなカナダの見せ方を考えていきたい」と抱負を語った。

 

 

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