2024年日本人100万人達成へ、即効性を念頭に置いたプロモーション展開【ハワイ州観光局①】
2024年ハワイ州観光局の戦略
ハワイ州観光局 日本支局(HTJ)は、2024年の日本人訪問客をコロナ前の2019年比で6割強の水準に相当する100万人の達成を目指す。ミツエ・ヴァーレイ局長は日本市場のリカバリーに向けたプロモーションを行う」と強調。2023年10月にスタートした「旅、はじめるなら やっぱりHAWAIʻI」など、即効性のある「分かりやすく、パートナーも参加しやすい」キャンペーンを展開していくことで目標の達成を目指す。
日本人訪問客の回復率はコロナ前の4割弱水準
現地は関係性が深い日本市場の早期回復を希望
日本からハワイへの訪問者数は、2023年1〜11月の累計で50万5574人に達し、コロナ前の2019年同期比で64.9%減の状況。なお、米国マーケットは引き続き好調で8.9%増、全体で6.9%減となっている。
シェアで見ると、コロナ前は訪問者数全体の15.39%を占めた日本マーケットは、2022年に2%まで低下。2023年は6%まで回復した。ヴァーレイ局長は「日本マーケットは、まだコロナ前の4割弱の状態。ただ現地では一番関係性の深い日本マーケットの回復を望んでいる」と説明した。
2023年11月中旬には、経済や投資、観光面での連携強化を目的に、ハワイ州のジョシュ・グリーン知事を代表とするミッションが来日。日本政府に対し、2023年8月に発生したマウイ島西部の山火事への支援に感謝の意を伝えたほか早期の需要回復へ向けた取り組みについて、旅行会社や航空会社と意見を交換。また、より迅速な入国が可能となるプリクリアランスに向けた協議を関係各署と行うなど、今後の需要増へ向けた取り組みを行った。
一方、日本−ハワイ間の航空座席供給は、12月以降コロナ前の2019年比で7割まで回復。ヴァーレイ氏は「やっとアクセスが70%まで戻り、これからは本格的なキャンペーンを始めることができる」と評価した。足元の状況を見るとホノルルマラソンの日本人参加者が前回(2022年)の5000人から9500人超まで増加。年末年始の予約状況も好調で、その先の「2024年の第1四半期(1〜3月)をしっかり頑張りたい」と意気込みを見せた。
「旅、はじめるなら やっぱりHAWAI’I」
年末から広告集中投下、FAMサポートも
今後のプロモーションでは、昨年末から1月にかけて、「旅、はじめるなら やっぱりHAWAIʻI」の広告を集中投下。タクシーや列車内のモニター、ウェブサイトやテレビ、駅、新聞での広告を展開していく。
旅行業界向けの取り組みとしては航空会社や旅行会社とのコラボレーションを強化。なかでもFAMツアーの実施や、旅行会社が行う研修旅行へのサポートに力を入れる方針だ。ヴァーレイ局長は「まず今のハワイを見てもらい、各島の特徴を感じていただきたい」と訴えた。さらにメディア向けの視察旅行にも注力、「小グループで、テーマにこだわったプレスツアーを積極的に行っていく」意向だ。
「旅、はじめるなら やっぱりHAWAIʻI」特設サイト
www.yappari-hawaii.jp
4月に「ジャパンサミット」、6月「HAWAI’I EXPO」
ロマンス、隣島絡めたゴルフの訴求も
今年は主催イベントも引き続き実施する。日本の旅行会社スタッフをハワイに招いて行う「ジャパンサミット」を4月23〜26日にかけて実施する予定。今回はハワイ島へのFAMも計画している。2023年は渋谷で開催した一般消費者向けイベント「HAWAIʻI EXPO」は、2024年6月1〜2日に恵比寿で実施する予定で、同日に恵比寿ガーデンプレイスで開催されるイベント「ALOHA TOKYO 2024」と共にハワイを盛り上げる。
現地のパートナー企業が参加する「ジャパンミッション」は9月25〜29日に実施。同時期には東京で「ツーリズムEXPOジャパン2024」が開催される予定となっており、HTJは2023年の3倍の規模となるブースを出展する計画だ。
このほか、セグメント別のプロモーションも展開していく。ウェディングやハネムーン、夫婦の記念日旅行など、ロマンスマーケット向けのプロモーション「ココロつながるHAWAIʻI Heart &Heart」を継続する。またオアフ島以外の誘客を目的としてゴルフプロモーションも実施。その一環としてハワイでのゴルフの魅力をまとめた冊子を発行する。
マウイ島西部山火事へのサポートに感謝
西部の受け入れも再開、本格復興へ
一方、2023年8月に発生したマウイ島西部の山火事の復興状況においては、11月から山火事の被害が大きかったラハイナ以外のマウイ島西部において観光客の受け入れを再開した。ラハイナについては今後、本格的な復興へ向けた取り組みが始まることになっている。
日本からはこれまでに日本政府から約2億円、またHTJが開設した「マウイ島西部 山火事救援金」も立ち上げから1か月半で1億円以上の支援金が集まった。これに対してヴァーレイ局長は「旅行業界、関係各署を始め、みなさまからのサポートに感謝したい」と述べ、感謝の意を示す。
ハワイ州全体のGDPのうち、観光業のシェアは17%を占める。そのなかでも35%シェアを誇るのがワイキキだが、マウイ島西部はワイキキに次ぐシェアを誇っており、極めて重要な位置を占めている。そうしたことから復興を急ぐ方針だ。