記事検索はこちらで→
2024.06.03

学校研修実施レポート 岡山学芸館高等学校/岡山学芸館清秀中学校

オーストラリア・ケアンズで2週間の語学研修旅行

聴く・話す英語力を鍛え、世界遺産の大自然を満喫

 

岡山学芸館高校は、教育の4本柱として人間力、進学力、文武両道に加え国際理解力を掲げている。英語科ではカリキュラムにクラス全員1カ年の留学が組み込まれており、また普通科の生徒たちにも、海外研修の選択肢を複数用意するなど、学校をあげて語学教育やグローバル教育に力を入れている。併設する岡山学芸館清秀中学校も同様に世界で活躍できる立派な日本人の育成に向けて教育をおこなっている。今年3月にはオーストラリア語学研修を中高合同で実施。参加生徒たちはクイーンズランド州ケアンズで、異文化体験や英語学習など刺激に満ちた2週間を送ることになった。

 

春休みを利用して32名が参加

 

 春休みを利用した今回のオーストラリア語学研修は普通科および中学3年生の生徒を対象に実施したもので、男女同数の32名が参加した。32名の中には中高一貫 の中学3年生も3名含まれている。岡山学芸館高校では全校生徒が参加する修学旅行は行わず、希望者を募って研修旅行を実施しており、国内研修や海外研修から希望する研修を選択して参加することができる。海外研修ではオーストラリアの他、台湾やシンガポール、インド、カンボジア、フィリピンなどさまざまな選択肢が用意されている。
 オーストラリアは、英語学習の目的地として過去にも研修を実施してきた実績があるがケアンズでの実施はこれが2回目。コロナ禍で中断していた海外研修を再開した昨年に続く実施だ。期間は3月15~30日の16日間で、このうち現地には2週間滞在した。

 

教育旅行の受け入れ体制が充実しているケアンズ

 

 ケアンズを海外研修の目的地に選んだ理由は大きく3つあった。第1に教育旅行の受け入れ体制の充実だ。岡山学芸館・国際教育センターの森真裕美所長はケアンズ の受け入れ体制を高く評価。「観光施設はもちろん、現地の教育機関や仲介事業者も含めて団体旅行や教育旅行の受け入れに何十年もの経験があり、対応も組織化されきちんと機能する。現地視察もおこない、安心して生徒たちを送り出せることが確認できた」としている。

 

 第2にケアンズ周辺にある熱帯雨林とグレートバリアリーフの2つの世界自然遺産の存在が挙げられる。世界的に貴重な大自然を体感できるのは、研修目的地としての大きなアドバンテージの一つだ。
 第3に岡山学芸館高校にとってアクセスが良好な関西国際空港から直行便が出ており、所要時間的にも距離的にも比較的手頃な目的地である点だ。時間的・距離的な近さは航空運賃にかける費用の抑制にもつながる。とりわけコロナ禍後は燃油サーチャージを含む航空運賃が高騰している事情を加味しなくてはならない。所長は、「研修旅行は全額生徒の負担。費用の抑制は目的地選定の重要なポイント」と説明する。

 

 

 

 

 

授業もみっちり、英語漬けの2週間

 

  今回の研修旅行は現地滞在14日間のうち、初日のオリエンテーションを含め6日間が終日授業、半日授業が1日だった。語学学校ケアンズ・カレッジ・オブ・イングリッシュ(CCEB)での授業だ。4日間(土日が3日、祝日1日)は終日ホストファミリーと過ごした。その他、グリーン島見学、キュランダ訪問、現地高校訪問が各1日ずつの計3日。生徒は平日はCCEBで英語の授業、週末と祝日はホストファミリーと会話。英語漬けの毎日が続いた。また滞在中は全宿泊がホームステイで、生徒は2、3人に分かれてホストファミリーに分宿。授業後に帰宅しても英語漬けの時間は終わらない。
 これは「英語で英語を学ぶという貴重な体験をたっぷり経験してもらうのに加え、英語の先生やホストファミリーと接する時間をなるべく増やすことで、生徒たち が英語を使う場面をなるべく多くし、聴く力と話す力を鍛えるのが狙い」(森所長)だったからだ。

 

学校訪問では能動的な学びも経験

 

 ケアンズには日本の高校生との交流を受け入れる学校の受入環境がある。今回は公立校のゴードンベイル・ステイト・ハイスクールを訪問し現地の生徒と英語でコミュニケーションしながら交流を深めた。現地の生徒とバディを組み学校内を案内してもらったり、現地の生徒たちと即席のチームを作り、バスケットボールやバレーボール、バドミントンを競ったり、若者同士らしい交流をおこなった。また現地の生徒たちに、岡山市の特徴や岡山学芸館高校の紹介を英語でおこなった。

 また現地の生徒たちに、岡山市の特徴や岡山学芸館高校の紹介を英語でおこなったほか、事前に準備していった「ソーラン節」を披露して喝采を受けた。こうした経験を積むことで「現地生徒たちから刺激を受けたり受動的に学んだりするだけでなく、自分たちで日本文化を紹介するなど情報発信することで、能動的な学びを身につけるきっかけになったことを期待したい」(森所長)。
 海外研修を通じて得た学びや成果については、小グループに分かれてテーマごとに内容をまとめ、帰国後に保護者を招いた報告会で英語でのプレゼンテーションをおこなった。

 

高まった英語に対する向上意欲と自信

 

 今回の海外研修は生徒たちにとっては異文化理解や語学力向上へのモチベーションを著しく高めたようだ。帰国後のアンケート回答からは、「聞き取りができなかった時に軽々OKと言ってしまったこと、英語を間違えるのを恐れてホストファミリーの人とあまりしゃべれなかったこと。この2つの反省点を思い出して英語の勉強を頑張ろうと思う」や「オーストラリアの人と話してみて、自分の発音では伝わらないことがあった。時々発言をためらってしまうことがあったから、そこを改善していきたい」、「まだまだ知らない英単語がたくさんあることを痛感し、今まで以上に英語を勉強したいという思いが湧いている」などのコメントが見られる。英語の 授業やホストファミリーとの会話を通じてもどかしい思いをした経験が、英語力向上の強いモチベーションにつながっていることが分かる。

 

 逆に海外研修旅行を通じて自分の英語力に自信をつけた生徒も多い。「最初の方は大変だったが頑張って聞き取ろうとしていると、だんだん耳が慣れてきて、かなり聞き取れるようになった。また日本語が通じないので英語で話そうとしたのでスピーキング力も身についた」、「完璧な英語でなくても会話ができることが分かり、英語を話すことに抵抗がなくなった」など手に入れた自信は、今後さらに英語力を高めていく原動力になるはずだ。
 異文化理解についても若者らしい柔軟性を発揮した生徒のコメントが見られる。多くの生徒がホストファミリーとの生活のなかで、最初のうちは日本とオーストラリアとの生活文化の違いに驚き、戸惑ったとしているが、すぐに克服。「文化の違いを理解するのが最初は難しかった。なので日本とオーストラリアの文化など様々な違いを考えるきっかけにもなった。」、「日本では考えられない価値観を学ぶことができた」とポジティブに捉え直せている。「海外で働く夢も大きくなったし、将来の夢も本当にしたいことに変わりそうで本当に行って良かった」と前向きな影響を受けたとのコメントもあった。
 森所長は「生徒たちからは、母親が毎日作ってくれるお弁当のありがたみを知ったなど、オーストラリア生活を通じて日本での生活環境のありがたさを再認識し、親への感謝の気持ちを新たにした生徒も少なくない。それも大切な教育効果の一つだろう」としている。

春休みオーストラリ語学研修 日程表   

 

 

←前のページへ「総論」

次のページへ「探究学習のヒント/ASP」