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2024.11.08

日米間双方向の観光交流促進に向けて― 日米観光交流年における日本旅行業協会(JATA)の取り組み

日本旅行業協会(JATA)は、日米観光交流年の期間中、さまざまな取り組みを通して、日米間の双方向による観光交流の促進に努めている。特に、日本からアメリカへの旅行需要の完全回復を目指し、姉妹提携を結ぶ日米自治体間の交流拡大や、若年層の需要促進を目的とした施策など、新しい取り組みを進めている。ここでは、日米観光交流年におけるJATAの取り組みについて紹介したい。

 

 

日米観光交流年

「日米観光交流年」調印式の様子(左:ラーム・エマニュエル駐日米国大使、右:斉藤鉄夫国土交通大臣)

 

 コロナ禍で落ち込んだ双方向の観光交流の回復と拡大を目的に、日米両政府は初めての試みとして、2024年1月から2025年3月までを「日米観光交流年」と制定。両国の官民観光関係者(日本側:国土交通省観光庁、日本政府観光局(JNTO)、JATA/米国側:米国商務省、在日米国大使館、ブランドUSA)が密接に連携し、旅行、観光、文化交流促進に向けたさまざまな活動を展開している。なかでも大きな取り組みとして期待されているのが日米自治体間の交流事業。日本とアメリカの間には、464の姉妹都市提携があり、観光交流年を契機に、地方レベルでの交流再開をサポートしている。

 

 

日米観光交流年ロゴ&グッズ

日米観光交流年ロゴの活用
グッズを作成、団体交流の促進に

 JATAでは、ウェブサイトやSNS、パンフレットや新聞広告、旅行説明会など、さまざまな場面において、「日米観光交流年2024」ロゴの積極的な活用を広く呼びかけている。ロゴは、所定の登録フォームからの申請が可能だ。

 

●ロゴマーク申請用登録フォーム
form.qooker.jp/Q/auto/ja/24USATourismExchange/2024JU

 

 またロゴ入りのノベルティグッズ(ピンバッジ、ジッパータグ)を製作。2024年度(2024年4月~2025年3月)中に訪米する団体向けに無償提供している(送料もJATA負担、在庫がなくなり次第修了)。ジッパータグは、片面に「日米観光交流年2024」のロゴ、もう片面に「海外旅行自由化60周年」のロゴを掲載。必要な際は、申込用登録フォームから必要事項を入力の上、申し込みが可能だ。

 

●申込用登録フォーム
form.run/@jata-koryu2024

 

 なお、対象となるエリアはアメリカ合衆国50州と5準州で、アメリカ本土だけではなく、ハワイやグアム、サイパンも対象となる。またJATA会員旅行会社の手配が条件で、個人型旅行(募集型企画旅行)は対象外となる。
 ロゴの積極的な活用とロゴ入りグッズの作成は、交流年の認知度アップと団体交流促進が大きな目的。特に、団体の参加者が実際にピンバッジやジッパータグを着用、携行している様子を各種SNSに積極的に投稿してもらうことで、さらなる認知度アップにつなげたい意向だ。 実際に2024年度において、JATAが確認するところで姉妹都市交流再開については、約600名、また学生交流については約2000名に上るとされており、今後さらなる上積みが期待されるところだ。

 

 

IPW2024での取り組み

「IPW2024」で現地視察研修を実施
シンポジウムも開催、観光庁長官らVIPが出席

ロサンゼルスで開催された「IPW2024」に参加した日本からの旅行会社バイヤー

 

 今年はカリフォルニア州ロサンゼルスで5月4~7日に開催されたアメリカ最大のトラベルトレードショー「IPW」(主催;USトラベル・アソシエーション)だが、日本からは前年の倍以上となる旅行会社47名とメディア26名が参加。日米観光交流年に合わせ、日本の存在感を示した。
 JATAでは「IPW2024」に合わせ、現地視察研修を実施、アメリカツアーの造成や営業などに関わる8名が参加した。研修では、IPW2024参加の他、日本人選手の活躍で人気を集めるMLBの試合観戦(ドジャース対マーリンズ)やドジャースタジアムの視察を旅程に盛り込んだ。

研修視察では日本人選手の活躍で人気のドジャースタジアムを見学

 

 研修参加者からは、「アメリカについてはドジャース戦観戦ツアーの人気に支えられているのが現状。他チームの観戦ももっと売っていきたい」「野球観戦以外の観光周遊ツアーは、原価高でツアー代金が上昇。ヨーロッパなど他のデスティネーションと比較され苦戦している」など、どのようにアメリカを盛り上げていくべきか、さまざまな声が寄せられた。

日米観光関連VIPが集まったシンポジウムの様子

 

 またIPW2024に合わせ、日米観光交流年に関するシンポジウムを開催。日本からは、観光庁長官(当時)の髙橋一郎氏、JATA理事長の蝦名邦晴氏、JTB社長の山北栄次郎氏らVIP デレゲーションとして参加した。シンポジウムでは、蝦名氏が日本発アウトバウンドの状況についてプレゼンテーションを行ったほか、米国側の要人との意見交換、IPW2024の視察、交流イベントにも参加した。

日米観光関連VIPが集まったシンポジウムの様子

 

 

アメリカ旅行企画コンテスト

学生対象に「アメリカ旅行企画コンテスト」実施
若年層の海外旅行需要喚起にも

 日米観光交流年に合わせ、JATAでは学生(全国の大学、短期大学、専門学校に在籍する学生)を対象とした「アメリカ旅行企画コンテスト」を実施。日米間の相互観光往来の回復と拡大だけでなく、学生からアイデアを募ることで、若年層の海外旅行需要喚起に向けた施策となる。
 コンテストでは、「学生の斬新な発想で、同世代の若者のアメリカへの旅行需要を新たに創出、もしくは喚起することのできる実効性のある」旅行企画を募集。時期は2025年1~12月の出発を想定、エリアはアメリカ50州及び5準州(アメリカ本土だけでなく、ハワイやグアム、サイパンなども含む)が対象となる。
 既に応募は締め切られており、応募総数は計73件に達した。1次、2次審査を経て優秀企画を6点選出、8月5・6日には、優秀企画の学生と、ブランドUSA、ビジットUSAコミッティジャパン会員と企画ミーティングを実施。現在、優秀企画者の学生たちは、アメリカのプロからの貴重な意見を受け、企画内容を一部練り直し、最終審査会に向けて準備を進めている。
 「ツーリズムEXPOジャパン2024」期間中の9月27日には、公開プレゼンテーションと最終審査会を開催、優秀企画の中から最優秀となるグランプリと各賞(準グランプリ1点及び審査員特別賞1点)を決定するスケジュールとなっている。 
 なお、グランプリ受賞者には、副賞として、応募企画観光地までの旅行費用最大50万円までのサポートと、本コンテストに協賛するANAより、成田― ホノルル間( A380 FLYING HONU)の往復エコノミークラス航空券(最大2名分)を提供する。

 

JOTC Webinars 2024

オンラインでの情報提供も

 JATAでは、海外旅行促進活動の活性化を図ることを目的に設立したアウトバウンド促進協議会(JOTC)の活動の一環として、ウェビナー「JOTC Webinars」を定期的に開催している。2024年度は5月に「定番を知る」、8月に「観光局・大使館のおすすめ日程」をテーマに実施。今後は11月と2~3月に実施する予定だ。
 アメリカ方面は、毎回1日かけて実施。ビジットUSAコミッティジャパンを軸に、ブランドUSAやビジットUSAコミッティジャパンの会員である各地域の観光局、航空会社、レンタカー会社、サプライヤーが集まり、それぞれプレゼンテーションで最新情報を伝えている。
 ウェビナーは、対面のセミナーとは異なり、場所を選ばず参加できるのが大きな強み。視聴する旅行会社スタッフは、首都圏のみならず日本全国にわたり、その担務もツアー造成・企画・仕入から団体営業、WEBなど多岐にわたっている。

 

 

 

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