日本人海外旅行市場の期待が集まる オーストラリア
2025年の完全回復へ向けて着実な歩み
世界の旅行市場が活気を取り戻しつつあり、日本の海外旅行需要も回復に向かっている。とはいえ円安基調が続く為替動向の影響で、日本人の海外旅行意欲はまだ全開には至っていない。
そんななかで日本人の海外旅行デスティネーションの牽引役として期待されるのがオーストラリアだ。日本の海外旅行全体の回復を上回るペースでオーストラリアへ向かう日本人旅行者数が伸びているからだ。
日本からオーストラリアへの訪問者数は、ピークシーズンの2024年8月の数字では、月間5万4420人に達しており、コロナ前の2019年同月比でも86.2%まで回復している。直近に発表された9月の統計では月間3万2570人となっており、今年9月までの過去12カ月間の訪問者数は38万1100人で、2019年同期比で76.4%まで回復が進んでいる。
これを日本の海外旅行全体の状況と比較するとデスティネーションとしてのオーストラリアに期待せざるを得ない。というのも8月の日本人総出国者数は2 0 1 9 年比で68.1%と7割以下にとどまっており、それに対してオーストラリアへ渡航した日本人海外旅行者数は、前述の通り8割を大きく超える水準に達しているからだ。
いまのところオーストラリアは、日本の海外旅行市場の牽引役にふさわしい実績を上げているが、その理由はどこにあるのか。オーストラリア政府観光局(TA)のアジア地区・航空担当副局長のアンドリュー・ボグ氏は8月に来日した際に、オーストラリアを訪問する日本人旅行者はリピーター比率が高いため心理的にも手続き的にもオーストラリア旅行のハードルが低くなっている点や、「米ドルやユーロと比べて豪ドルは円との為替の変動幅が小さく、比較的コストパフォーマンスが良い」点などが、日本市場におけるオーストラリアの回復の順調さの理由であるとした。
航空座席供給量も引き続き拡大中
オーストラリアの順調な回復を支えているもう一つの理由は日本-オーストラリア間の航空座席供給量の充実ぶりだ。日豪間ではオーストラリア人旅行者の訪日需要も活発で、8月には2019年同月より5割以上も増加し8月の過去最高を記録している。1~8月の累計でも2019年を4割以上上回っている。こうした訪日需要の増加により双方向需要が確保されていることもあって航空座席供給が拡大。供給量は2019年比で5割増し程度で推移している。
2025年2月下旬以降、ヴァージン・オーストラリア航空が使用していた羽田空港の発着枠はカンタス航空の使用が認可されており、さらなる供給量の拡大が期待される。
しかも2024年10月からのANAによる成田-パース線の再開や、JALの成田-メルボルン線の増便(週3便から週6便へ)もあって航空座席供給量は順調に増加している。これも海外旅行デスティネーションとしてのオーストラリアの大きな強みとなっている。
このような需要回復の順調さと航空座席供給量の拡大を背景に、TAではなるべく早い時点で日本市場をコロナ前の水準に戻し、目の前まで来ている完全回復を2025年には実現したい考えだ。
出発1か月前を目途に早めの申請が安心
ETAについて
ETAポイント
ETA(Electronic Travel Authority)を通じてオーストラリア移民局に登録し、ETAと呼ばれる電子渡航許可が発行される仕
組み。申請から発給までオンラインで完結する電子ビザとなっている。
● 申請時にはパスポート、電子メールアドレス、クレジットカードを用意
● 観光、知人・親族訪問、商用いずれの目的でも取得が必要
● パスポートの残存期間が1年以上あれば、取得日から1年間有効で何回でも入国が可能。1回の最大滞在日数は3カ月
● オンライン申請手数料としてA $ 2 0(約1900円)が必要
※ETAに関する詳細および最新情報は在日オーストラリ大使館のウェブサイトで確認