世界遺産にフォーカスした 魅力発信を強化
日本人の関心の高さをキャンペーンに反映
日本のオーストラリア旅行需要を完全回復させ、コロナ前を上回る日本人旅行者を獲得するため、オーストラリア政府観光局(TA)が2024年5月末から日本市場で実施しているのが世界遺産キャンペーンだ。「オーストラリアの世界遺産は“体験”だ!」と題して展開しているキャンペーンでは、オーストラリアに合計20件(文化遺産4件、自然遺産12件、複合遺産4件)あるユネスコ世界遺産とその周辺で体験できる食や自然、文化、現地でのオージーとの出会いと交流などの魅力を紹介している。
コロナ過からの完全回復という目的を完遂するうえで極めて重要なキャンペーンのテーマに世界遺産を選んだのは、日本市場を詳しく分析したうえで、市場特性に最もふさわしい内容として確信できたからだという。
TA日本・韓国地区局長のデレック・ベインズ氏によればテーマ決定の根拠となったのは、TAが3カ月に1回のペースで実施している世界規模の消費者意識調査だったという。調査結果からは日本人が世界遺産に対して他国の人々と比較して非常に強い関心を持っていることが判明し、日本人が海外を訪れる際にはその国の世界遺産を見たいという意欲が強く働くことが分かった。
また日本で旅行に関するウェブ検索や旅行代理店への問合せの単語の傾向を分析すると、「世界遺産」が良く取り上げられるキーワードになっていることが分かり、これも世界遺産をテーマとするキャンペーンの原動力となった。
さらに、いうまでもなくオーストラリアの世界遺産そのものが持っている他国にない魅力も重要なポイントだ。NPO法人世界遺産アカデミーは「オーストラリアの世界遺産が世界の多様性を代表する世界遺産の縮図である」と説明。その希少性を讃えている。
キャンペーンの推進体制は強力で、世界遺産キャンペーンは世界遺産アカデミーの全面協力を得ているほか、本キャンペーンのアンバサダーとして世界遺産検定1級認定を取得しているお笑い芸人、あばれる君を起用。テレビの人気者を起用したことで、メディアを通じて話題も盛り上がりキャンペーンは順調なスタートを切った。
キャンペーン開始に合わせて動画『あばれる君がロードトリップ世界遺産ウルルへ』を公開している。内容は大陸中央部ノーザンテリトリーのアリス・スプリングスを出発し、レッドセンターと呼ばれる砂漠地帯の大地を駆け抜け、キングス・キャニオン経由でウルル-カタ・ジュタ国立公園を目指す4日間・800㎞の旅。これを4本のロードトリップ・ムービーとして制作し、道中の大自然や人々との出会い、文化や食の魅力を動画に詰め込んでいる。TAでは今後、他の世界遺産でも同様に動画制作を行い、多彩でユニークなオーストラリアの世界遺産の魅力を幅広く発信していく方針だ。
オージー・スペシャリスト・プログラム( ASP)
パース(ボールー)で開催、現地イベントに300名のスペシャリストが集結!
スペシャリスト取得後は
ウェビナーや現地イベントに参加
オージー・スペシャリスト・プログラム(ASP)」は、旅行会社向けのデスティネーション認定プログラム。オーストラリアの基本情報をくまなく学べるeラーニングプログラムで、セーブ機能を使えば自分のペースで学習を進めることができる。スペシャリスト認定者は適宜行われるトレーニングコースで最新情報をアップデートできるほか、随時開催されるウェビナー(ライブ/録画)や現地イベントなどへの参加も可能だ。
パースで商談会や現地視察を実施
2024年は10月にスペシャリスト限定の現地イベント「G’day Australia 2024」を開催。パースに世界各国のオージー・スペシャリスト約300名が集まり、136社のオーストラリア旅行業界関係者との商談会や現地を視察する研修旅行が実施された。日本からも16名のオージー・スペシャリストが参加し、クイーンズランド州のブリスベン&ゴールドコーストと西オーストラリア州のマーガレットリバー地域に分かれて視察を行った。次回は2026年の開催を予定しており、イベントの案内はASPのニュースレターを通して適宜発信していく。
https://www.aussiespecialist.com/ja-jp
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