パース(ボールー)から始まる唯一無二の世界遺産旅【西オーストラリア州政府観光局】
ジンベイザメやジュゴンと遊び、地球の神秘に没入できる場所
西オーストラリア州では3つの自然遺産と1つの文化遺産が世界遺産として登録。特に自然遺産は、オーストラリアはもちろん世界的に見ても珍しい驚異の絶景や生物多様性の宝庫だ。世界最大の魚ジンベイザメとザトウクジラとの遊泳体験、世界で2ヶ所しかない貝殻のビーチ、地球に酸素をもたらした太古の生物、人里離れた秘境で待つ唯一無二の奇岩群など特別な体験がもりだくさん。西オーストラリア州の世界遺産で一生物の思い出を。セルフドライブで広がる可能性も含めて基本情報からアレンジのヒントまで企画や販売に役立つ内容をまとめた。
【シャークベイ 自然遺産】
イルカやジュゴンと出会える絶景
パースの北約850kmに位置するシャークベイは、砂漠と海が出会う場所。透明度の高い海と美しいビーチ、そして多様な野生動物と出会えることで大人気のエリア。世界遺産登録は1991年で、様々な動植物が集まる生物多様性の宝庫であることだけでなく、湾内の浅瀬ハメリンプールに生息する世界最古の生物ストロマトライトが群生していることも高く評価された。
シャークベイで一番の人気スポットはモンキーマイア。州内で最も有名なドルフィンウォッチングの目的地で、日に数回ビーチを訪れる人懐っこいイルカを見ることができ、特に朝には運が良ければ餌やりの特別な体験も。
またジュゴンやイルカ、ウミガメ、マンタなどの野生動物を観察できるカタマランツアーもここから出発する。ジュゴンはシャークベイが世界最大の生息地で、世界中の個体の約10%がここに集まる。
そしてビーチでは、真っ白な砂と紺碧の海とのコントラストがまぶしいシェルビーチが人気。世界で2ヶ所しかない貝殻だけでできているビーチで、長さ約110kmに渡って約10mもの深さで白い小さな貝殻が堆積している。
ストロマトライトの存在も圧巻で、なんと35億年も前から絶えることなく成長し続けている。一見すると岩のようだが実際は藻の仲間で、1年に1mm未満というごく微かなペースで成長。その最も特筆すべき点は、地球で初めて海から陸に上がり光合成によって大気に酸素を放出した、現在の世界の原点といえる生命体であること。会えばきっと地球の神秘を感じられるはずだ。
セルフドライブで広がる可能性
パースからシャークベイへは、車か国内線でアクセス可能。レンタカーの場合は約780kmのドライブで途中にはピナクルズやランセリン砂丘などの観光スポットへ立ち寄れる。飛行機ならパースから国内線で約2時間、シャークベイ空港からモンキーマイアまで車で20分ほどで到着する。
アクティビティも、ドルフィンウォッチングや遊覧クルーズはもちろんシュノーケリングや国立公園でのトレッキング、キャンプ、BBQ、カイトサーフィン体験など盛りだくさん。1年を通していつでも楽しめるのも魅力だ。
お土産には世界遺産の海水から作られる天日塩シャークベイソルトがおすすめ。実は生産者は三井物産で、その他でもあの赤穂の天塩もシャークベイの海水を原料としており、日本とオーストラリアの知られざる深い関係をお客様に紹介することができる。
先住民の文化や歴史を体験できる新アクティビティが続々登場
オーストラリアの先住民の人々は6万年以上前からこの地で暮らし、現存する世界最古の文化をつむいできた。そして現在は、その先住民の人々が自ら起業し自分たちの文化や歴史を旅行者に紹介するツアーやアクティビティが次々に誕生している。
世界遺産の枠組みができる何万年も前から自然の声を聞き自然と共に生きてきたからこそ実現できるオーストラリアの観光。
例えばシャークベイでは、国の最優秀先住民ガイドの受賞歴も持つダレン・ケイプウェルのWula Gura Nyindaが土地を「見る」のではなく「感じる」ツアーを提供している。
【ニンガルーコースト 自然遺産】
ジンベイザメ&クジラと遊泳体験
州北西部のニンガルーコーストはシャークベイからさらに480kmほど北にあり、オーストラリア屈指の大きさのサンゴ礁ニンガルーリーフがある。特徴は、なんといっても世界最大の魚ジンベイザメと一緒に泳げること。ジンベイザメは体長12mにもなるが人を攻撃するようなことはなく、広大な海を悠々と穏やかに泳ぐ神秘的な姿を間近で見るのはまさに一生物の体験。しかも近年はザトウクジラとの遊泳体験も開発が進んでいる。
ニンガルーリーフ観光の拠点になるのは南側のコーラルベイまたは北部のエクスマウス。パースから約2時間のリアマンス空に降りてエクスマウスまでは車で約25分、コーラルベイまでは1時間15分ほど。
コーラルベイの場合、ジンベイザメは3月中旬~6月、ザトウクジラは7月~10月がシーズンで、エクスマウスではそれぞれ3月中旬~7月、8月~10月に会うことができる。マンタやウミガメなどの生き物は通年でいつでも出会うことが可能だ。
ニンガルーコーストの世界遺産登録は2011年。サンゴは300種類以上、魚介類は2000種以上という生物多様性に加え、海には世界最長クラスの近海岩礁、広大な大地にカルスト地形や網の目のように連なる地下洞窟と地下水路が生態系を支えていること評価されている。エリア内のケープレンジ国立公園では、赤土の大地に刻まれた断崖や渓谷、絶滅危惧種を含む珍しい動植物、鳥類などに出会えるウォーキングツアーやボートツアーも用意されている。
【バングルバングル 自然遺産】
秘境にひそむ唯一無二の奇岩群
ニンガルーコーストよりもさらに北、ノーザンテリトリーとの州境近くにある秘境バングルバングル山脈。2003年に世界自然遺産に登録されたパヌルル国立公園のシンボル的存在だ。
1983年に映像で紹介されるまで先住民などごく一部の人々にしか知られていなかったこの地で絶対に見逃せないのは、バングルバングルの圧巻の奇岩群。高さ300m以上にもなる巨大なドーム型の砂岩にはオレンジと黒の層が蜂の巣のような縞模様を描き、それが無数に連なる様子は地球上でも唯一無二の絶景だ。約3.5億年前から堆積と隆起を繰り返し2000万年をかけて侵食された大地の神秘を目撃しよう。
また国立公園内ではカテドラル渓谷やピッカニニークリークを巡るトレッキングツアーが充実。片道3kmほどから、キャンプをしながら数日間かけて歩くものまで多彩で、夜には天の川と満天の星空も。シーズンは雨季を除いた3月~10月がベストだ。
バングルバングルはパースからカナナラ空港まで空路で3時間、カナナラから車だと約5時間の秘境だが、カナナラまたはブルームからヘリコプターかセスナ機での遊覧飛行なら時間を大幅に短縮可能だ。
【フリーマントル刑務所 文化遺産】
19世紀の英国の面影を感じる街歩き
西オーストラリア州唯一の世界文化遺産は、オーストラリア囚人遺跡群の一つとして旧フリーマントル刑務所が選ばれている。
フリーマントルは、1 9世紀前半に英国の植民地として築かれた美しい街。パース中心部から電車でも車でも約3 0 分と近く、マーガレットリバーなどへのセルフドライブとも好相性。歴史ある建物や1897年から続くマーケット、ストリートアート、名物のフィッシュ&チップスとクラフトビールを満喫できる街歩きがおすすめだ。
西オーストラリアはセルフドライブがおすすめ!
西オーストラリア州を楽しみ尽くす黄金の鍵はセルフドライブ。オーストラリア大陸の3分の1を占める広大な州内は、一地域でもその広さは想像以上。その点セルフドライブなら地方空港からでもレンタカーを利用でき、思い思いのスケジュールで行動可能だ。
左側通行なので運転しやすく、また免許も最寄りの運転免許センターで国際運転免許証を取得するだけ。今回紹介したエクスマウスも、パースからの片道を運転して帰りは飛行機でひとっ飛びの乗り捨てプランも用意されている。
西オーストラリア州政府観光局では、F1ドライバーのダニエル・リカルドを起用したロードトリップムービーも公開中。是非西オーストラリアならではの開放感を感じてほしい。
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